世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年8月24日

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 マックデヴィッドの見方は、一つの見方ではあります。しかし、不思議なことに、論説では、この地域に対する米国の軍事的関与の意義については、何も触れられてはいません。米国の持つ「手段」は、確かに多くはありませんが、ゼロというわけではありません。

 昨年7月の国際仲裁裁判所の裁定を受けて、中国は、確かに対外姿勢を柔軟化させてきています。その理由は、米、日、ASEANとの関係悪化のみならず、中国が国際秩序の破壊者だという認識が国際社会に広がり始めたからです。そして、何よりも、さらなる埋め立てと軍事化は、米国との関係を著しく緊張させると判断したからなのです。人民解放軍を思いとどまらせ、人民解放軍主導の対米関係を是正できたのも、米軍の存在と行動に他なりません。

 中国社会も冷静さを取り戻し、理性的な議論が再び主流に戻り始めているようです。また、秋の党大会を控えて若干の「揺れ」は起こり得るでしょうが、基本は習近平へのさらなる権力集中に向かっています。それだけ末端を抑える力がつくということでもあります。南シナ海もしばし安定期に入ると思われます。

 しかし、中期的には米国がどのような南シナ海政策をとるかどうかにより、中国の拡張政策の度合いも決まることになります。やはり、米軍の存在と行動が、依然として鍵なのです。


  
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