赤坂英一の野球丸

2017年8月30日

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 投げる途中で「止まっている」ことが問題なのか。いや、「止まっているように見える」ことが問題なのか。ペナントレースが大詰めを迎えた最近、プロ野球界が時ならぬ「2段モーション問題」に揺れている。

(artisticco/iStock)

 事の発端は西武の左腕エース・菊池雄星である。17日の楽天戦、二回先頭の松井稼頭央への初球に真鍋勝己球審からボークを宣告された。ボールをリリースする直前、上げた右足を上下させていたことが2段モーションと判定されたのだ。このとき、真鍋が観客やマスコミに具体的説明をしなかったことが、のちに事態を紛糾させる一因となった。

 菊池は次に先発した24日のソフトバンク戦でも、初回に投げた初球からいきなり2段モーションの反則投球と白井一行球審に宣告された。2球目から急遽クイックモーションに切り替えたところ、かえって制球を乱し、3回5安打3四球7失点でKOである。

 この事態に辻発彦監督が激高、「前(17日楽天戦)より(右足の動きを)小さくしてるだろう。あれで(2段モーション)に取られたら(ほかの投手も)みんな取られる。ほかの試合でも取っているのか」と憤りを露わにした。鈴木葉留彦球団本部長も「問題は雄星だけなのか。しっかりとした答えをいただきたい」としてNPBに質問書を提出している。

 一方、NPBの友寄正人審判長は「菊池投手には事前に複数回注意をしていた」と主張。「4月から6月まではきれいなモーションだったが、6月半ばから変わった。7月に現場の審判から『段が激しくなっている』と報告があった」と反論する。菊池に対して最初に2段モーションと判定した17日の楽天戦にしても、「二回に反則投球を取る前、審判が初回の投球を見て注意していた」など、新たな事実も明かした。

 結局、その友寄審判長が27日に西武の本拠地メットライフドームに出向き、菊池本人をはじめ、辻監督、土肥義弘投手コーチと直談判する事態に発展。友寄審判長からは現場での審判の説明不足を謝罪する一幕もあり、とりあえずは一件落着となった。

 しかし、辻監督が言うように、菊池のほかにも多くの投手がまぎらわしい投げ方をしているのも確かだ。すぐに思い浮かぶのはヤクルトの〝ライアン〟小川泰弘である。彼の場合、左足を胸につくほど大きく上げたときに一度、その左足を着地させる前にもう一度、モーションに「間」が生じる。これを「段」や「ストップ」と見るか、ゆっくりでも「動作中」と見るかは難しい。実際、今春のキャンプ中には審判から「気をつけるように」と注意されており、「最近、菊池の名前で検索をかけるとぼくの名前も引っかかる」と小川本人もぼやいている。

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