赤坂英一の野球丸

2017年8月16日

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 首位独走中の広島がセ・リーグ史上最速のスピードで優勝を決めるかもしれない。過去最速の記録は1990年の巨人で、優勝決定日は9月8日だった。広島は昨季、この記録を更新するのではないかと言われながら、2日遅れの9月10日となっている。オマケのような記録ではあるが、「今年こそカープに巨人を抜いてほしい」と地元ファンの期待は高まる一方だ。

(Jason Stitt/iStock)

 皮肉なことに、広島の記録更新を最もアシストしているのが、ほかならぬ巨人である。広島は8日、球団史上最速のスピードで優勝マジックナンバー33を点灯させた。1980年と昨年記録した8月24日を16日も更新するハイペースで、この時点での成績は63勝35敗4引き分けの貯金28。巨人との対戦成績は13勝4敗で貯金9。つまり、広島は貯金の3分の1を巨人戦で稼いでいる勘定だ。

 巨人はなぜ、これほど広島のカモにされているのか。6月7日付記事「巨人はなぜ広島にこれだけ差をつけられたのか」では、守備と走塁における意識の差を指摘したが、それだけではない。巨人首脳陣の間からは最近、「ウチの投手陣は広島打線に苦手意識を植え付けられている」という声が聞かれる。

 「広島の打者はみんな、状況に応じていろんな打撃ができるでしょう。例えば、2番の菊池涼介で一番警戒しなきゃいけないのは、足を生かした長打や内野安打なんだけど、彼は本塁打も2ケタ打ってる。コースや球種を間違えたら、スタンドまで持っていかれるという恐怖心があるんです。そうかと思えば、一発を警戒しなきゃいけない4番の鈴木誠也は、走者がいる勝負どころではしっかりと右打ちをしてくるしね」

 だからか、巨人の投手陣はよく「広島戦は他チームより神経を使うので疲れる」とこぼしているという。

 とりわけリリーフ陣の“赤ヘル怖い”病は深刻らしい。今季は昨季まで抑えだった沢村拓一、セットアッパーの山口鉄也がコンディション不良で二軍落ち。補強戦力の森福允彦やアルキメデス・カミネロもいまひとつ安定感を欠いている。新人の畠世周、谷岡竜平、池田駿、2年目の桜井俊貴、育成選手上がりの篠原慎平も頑張ってはいるものの、いまの彼らにはまだカープ打線は荷が重い。

 一方、広島では昨季までの抑えだった中崎翔太をセットアッパーへ、セットアッパーの今村猛を抑えに回した配置転換が奏功した。もともとは中崎が右側の腰と股関節を痛めて戦線離脱したための苦肉の策だったが、守護神を任された今村がここにきて一皮むけた感がある。「やっぱり、去年の優勝、3〜4年前からクライマックスシリーズ(CS)進出をかけて厳しい戦いをやってきたからね。ああいう経験の蓄積がいまに生きている」と広島OBの評論家は指摘している。

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