オトナの教養 週末の一冊

2017年9月1日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

 1996年を境に、専業主婦世帯数と共働き世帯数は逆転し、昨年には共働き世帯が専業主婦世帯の約2倍(独立行政法人 労働政策研究所・研修機構ホームページより)にまで増加している。一方で、イクメンという言葉がしきりに叫ばれる状況は、それだけ日本の男性の育児や家事への参加率が低いためとも受け取れる。『ワンオペ育児 わかってほしい休めない日常』(毎日新聞出版)を上梓した藤田結子明治大学商学部教授に、家事や育児に積極的な男性とそうでない男性とその原因などについて話を聞いた。

――最近は、休日に公園でお子さんと遊んでいるお父さんの姿をよく見かけます。共働き家庭が多くなり、男性も積極的に育児、家事をしているのでしょうか?

藤田:アンケートなどを見ると「父親も育児に参加すべきだ」などという答えは確かに増えています。

 しかし、政府の調査によると、6歳未満の子どもを持つ父親の家事・育児に費やす時間は、わずか1時間ほどで、同様に、共働きの母親は1日約6時間、専業主婦の母親で1日約9時間です。実は1990年代と比較しても、父親の育児、家事に費やす時間はさほど増えていません。

 また、6歳未満の子どもを持つ共働き世帯で、父親が家事を日常的にしているのは2割、子育てを日常的にしているのは3割です。つまり、約2~3割の男性しか、日常的に家事や育児をしていないのが実情です。

 これに対し、アメリカや北欧では、1日に3時間以上も父親が家事や育児をしているというデータがあります。

――てっきり共働き家庭が増えたことで、男性の意識も変わってきたのかと思っていました。上のデータは、子どもが6歳未満の場合です。もう少し子どもが大きくなると、父親が家事や育児に参加する時間に変化はあるのでしょうか?

藤田:お子さんがまだ小さいと、お風呂に入れたり、遊んだりとやるべきことが多く、わかりやすいので父親も参加しやすい。しかし、子どもが10代ともなると、育児の分量自体が減るので、家事や育児に費やす時間が0分という人が増えます。

――7~8割の家事や育児をしない男性は、なぜしないのでしょうか? 社会の仕組みの問題なのか、それとも働き方や規範意識の問題が大きいのでしょうか?

藤田:一番の問題は、欧米と比べてダントツに長い日本の長時間労働の問題です。

 というのも、最初に紹介したデータの通り、平日には2~3割しか家事・育児に参加しない男性の割合が、週末には倍の5~6割に増える。つまり、週末に時間さえあれば、参加する意識があるということです。

――長時間労働は、日本の雇用慣行の問題が大きいのでしょうか?

藤田:そうですね。一般的にヨーロッパの企業では、先に仕事を決め、そこに人員を補填するので、自分の仕事がはっきりしているためそれが終われば他人の仕事を手伝う必要がない上に、政府が残業時間を月に32時間ほどと制限しているため、長時間労働になりにくい。

 対する日本の会社では、仕事よりも会社の一員として入社し、数年ごとに転勤や異動を繰り返す無限定な働き方が特徴です。

 目に見える業績よりも、どれだけ長時間働くか、どれだけ会社に忠誠を誓っているか、を上司に評価されます。ですから、必然的にみんなより早く帰ることができず、長時間労働になりやすいのです。

――規範意識という点ではどうでしょうか。日本では、いまだに妻は家を守り、夫は外で稼ぐという意識が強いように思います。こういった意識は、両親からの影響が強いのでしょうか?

藤田:自分の父親が育児に積極的だった男性は、父親になったとき育児に積極的になるという調査がいくつかあります。反対に、父親が家にあまり帰らず、家事・育児に参加しない場合、反面教師のように子どもが親になった時には積極的になるという調査もあります。

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