世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年9月13日

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 ワシントンポスト紙コラムニストのロウギンが、8月13日付の同紙で、トランプ政権と米議会は、米露軍備管理条約の履行継続に消極的で、同案件は暗礁に乗り上げていると論じています。論説の要旨は以下の通りです。

(iStock.com/grimgram/Looper_cro/JuliarStudio/Tigatelu/Alias-Ching)

 米露の軍備管理・不拡散体制は、ロシアの誤った行動と米国の怠慢によって亀裂が入りつつある。問題は、この体制が崩壊する前に、トランプ政権がそれを修復する意思と能力を持っているかどうかである。

 そもそも現在の米露関係は、米大統領選へのロシアの介入、ウクライナ問題等で、歴史的な低水準にある。軍備管理コミュニティは、トランプ政権に対し、手遅れになる前にロシアと協力して大きな問題に取り組むよう催促している。

 しかし、議会の一部の共和党員は、ロシアとの軍備管理に反対し、米国の報復能力を強化するとともに、各種協定からの離脱を強く訴えている。

 先週、非武装のロシア機が国防省やCIAなどの国家安全保障にかかる拠点の上空を飛行し、多くの米国民を驚かせた。ほとんどの人は2002年以来、米露他32ヵ国が互いの領土を飛行することを許可した「オープンスカイズ条約」を知らない。だが、国務省やマティス国防長官らによると、ロシアはこの条約に何年も違反している。ロシアはその領土の主要部分の飛行を許可しておらず、米国や他国が条約の権利に基づいて飛行するのを阻止する措置をとっている。

 米議会からは、そうしたロシアへの対抗措置として、米政府もロシア機の飛行を制限するよう求める声がある。また、軍指導部には、条約が完全に廃止されることを望む者もいる。

 米議会では、ロシアによる中距離核戦力(INF)全廃条約の違反に対し、すぐさま対抗することが計画されている。ロシアは、INF条約に違反する新型巡航ミサイルを開発、配備することで欧州を脅かしているからだ。次期国防授権法案では、米国は新型の巡航ミサイル開発のため数千万ドルを通じ、米国も潜在的な条約違反をすることをいとわないとする向きがある。INF条約に関しては、現在米露交渉を再開するための努力が進められている。トマス・シャノン国務次官補は、ロシアのセルゲイ・リャブコフ氏と7月18日にワシントンで会談し、近く「戦略的安定性対話(Strategic Stability Talks)」を開催することで合意した。

 2017年1月まで同問題を担当していた国務省のトマス・カントリーマンは、議会が条約に違反した場合、あるいはトランプが条約を脱退した場合、それは米国の負けである、「米国によるINF条約脱退は、国家安全保障に何も資さない」し、「そうなればロシア広報の勝利となる。したがって、根本的な解決策を追求するため可能なことをすべきだ」と言った。

 シャノンとリャブコフは、長距離核戦力の配備を制限している新START条約についても協議を継続することを約束している。新STARTの効力は2021年までだが、その延長も危険に晒されている。カントリーマンは、同条約の延長合意は、条約の長期的信頼性を高め、関係安定に資すると述べている。

 現在の関係低迷は、米国の民主主義に対するロシアの介入によるものである。しかし、同盟国と協力して軍備管理問題に取り組むことは、関係改善の筋道を立てる可能性がある。そのプロセスにおいて、トランプは別の軍拡競争を回避することもできるはずである。

出典:Josh Rogin ‘How Trump could improve U.S.-Russia relations — and head off an arms race’ (Washington Post, August 13, 2017)
https://www.washingtonpost.com/opinions/global-opinions/how-trump-could-improve-us-russia-relations--and-head-off-an-arms-race/2017/08/13/215d1654-7ee1-11e7-9d08-b79f191668ed_story.html?utm_term=.0a34a9c1f891

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