高口康太の「中国ビジネス最前線」

2017年9月22日

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零細事業者を束ねた馬雲帝国、2036年に「国」を目指す

 小企業、零細事業者をターゲットにした戦略はアリババグループの創業者、ジャック・マー(馬雲)の哲学に基づいている。馬はアリババを創業する前、政府系のECプラットフォーム「中国誠商網」の構築を手がけたが、約1年で辞任している。大企業向けの中国誠商網は自分の目指すところではないと感じたためだ。そうして、政府のお偉いさんという身分を捨て、マンション起業というゼロからの出発を経て生み出したのがアリババである。

 こう説明すると、なにやら強きをくじき弱きを助ける義賊のように見えてしまうかもしれないが、たんなる侠気ではなく、弱者の群れを助けることがビジネスの成功にもつながるという判断があるのだろう。実際、ジャック・マーは創業時の哲学を捨てぬままアリババグループを時価総額4000億ドル(約40兆円)というモンスター企業に育て上げた。そしてさらなる発展に向けて加速している。

 今年7月、浙江省杭州市で開催されたイベント「天下網商大会」を取材した。私が目にしたのは、熱弁を振るうジャック・マーの姿だ。

 「もし一つの企業が20億人のクライアント、世界人口の3分の1を顧客としたならば、もし一つの企業が1億人の雇用を生み出したのならば、もはや大多数の国々と比べてもすごい存在だ。もし10億人のビジネスを生み出したのならば、すでに経済体と呼ぶにふさわしい存在だろう。2036年、世界の経済体トップ5は次のようになっているだろう。米国、中国、欧州、日本、そしてアリババグループだ」

 大ボラにしか思えないが、ジャック・マーの発言と思うとたんなる大言壮語に見えなくなる。少なくとも、20億人のクライアント、1億人の雇用、10億人のビジネスを目指して、ジャック・マーが率いるアリババグループ、アントフィナンシャルは走り出している。
 

  
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