WEDGE REPORT

2017年10月24日

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技術力の維持に支障をきたす恐れ

 だが、90年代以降、装備の近代化、技術力の向上が進む中、建造技術の高度化を図るため海自では建造体制の集約を意図し、業界再編が進んだ。特に最近の艦艇商談をみると、IHI、住重、日立造船の艦艇3社が統合されたJMU(ユニバーサル造船、IHI・マリンユナイテッドが事業統合)が、ヘリコプター搭載型の大型護衛艦4隻を連続受注・建造したほか、新しく計画された新型イージス艦2隻についても連続受注している。

 つまり、このままでは三菱重工、三井造船の2社は「現在、建造中の護衛艦を引き渡すと手持ち工事がなくなり、技術力の維持に支障をきたす恐れがあった」(業界関係者)のだ。

 そこに今回の商談では「価格競争による安値受注に陥りがちな指名競争入札ではなく、新たな入札方式を取り入れることによって、(それぞれ事業がある)三菱、三井の両社が落札しやすいように導いた」(業界関係者)。国の防衛力を考慮するには「兵員や、航空機、艦船などの数量だけでなく防衛産業の保持・育成なども当然、加味される」(防衛省関係者)。防衛装備庁としてはこうした防衛力保持の一貫として「建造能力の基盤維持を考慮したのではないか」(同)という訳だ。

 海自向けの艦船建造では既に潜水艦は三菱重工、川崎重工の2社体制が確立、両社は1年ごとに交互で受注し、建造能力の維持を図っている。艦艇についても今回の下請け受注という新方式の採用によって3社が分担して担う体制が固まりそうだ。

  
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