世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年10月30日

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 エコノミスト誌が、「おかしな中立:スウェーデンはNATOに参加すべきか」との解説記事を9月21日付けで掲載、スウェーデンが中立政策を変え、NATO加盟を考える可能性がある、と論じています。同記事の概要は次の通りです。

(iStock.com/cthoman/Ivary/wissanu99)

 9月末までのスウェーデンの「オーロラ・17演習」は、中立国スウェーデンがここ23年で実施する最大の演習である。スウェーデン軍1万9千名(全体の約半分)のほかに、フィンランド、デンマーク、エストニア、ラトビア、リトアニア、フランス、ノルウェー、アメリカの1500名以上の兵士も参加する。フィンランド以外、皆NATO加盟国である。演習の焦点はバルト海のゴトランド島(ロシアの飛び地カリーニングラードから350キロに位置する)の防衛であるが、スウェーデンが安全でないと感じていることの反映である。プーチンはクリミアを飲み込み、ウクライナを攻撃し、バルト諸国とスカンディナビアで力を誇示している。最近のロシアの大規模演習Zapad-17に、ロシアは「西側の連合」を撃退する訓練のため、白ロシアとバルト方面に10万の兵士を送り込んだ。NATOの演習とは異なり、外国の観察者は排除された。

 これ以外にも多くの不安要因がある。2013年3月、ロシアはTu-22M3爆撃機をSu-27戦闘機4機にエスコートさせ、ゴトランド島から40kmまで接近させた。NATOの分析官はスウェーデンへの核攻撃の練習をしたと信じている。スウェーデンはデンマークのF-16(NATOのバルト海空中監視の一部)に対応を依存せざるを得なかった。2014年にはロシアは潜水艦をストックホルム列島に侵入させた。軍事演習も頻繁である。

 多くのスウェーデン人が200年の中立をやめ、NATOに加盟すべしと考えるのは不思議ではない。そうすれば、スウェーデンへの攻撃は米国やNATO加盟国への攻撃となる。スウェーデンの民主党(超国家主義のポピュリスト政党で親プーチン)を除く全野党は、NATO加盟に賛成である。今年の始めに行われた世論調査では、47%が加盟に賛成、39%が反対であった。しかし現在の社会民主党と緑の党の連立政権は、NATO加盟はせずにNATOに出来るだけ近づくとの方針である。ハルトキヴィスト国防相はスウェーデンの自衛力強化を目指している。軍事予算は次の3年、毎年5%増える予定であり、徴兵制も来年導入される。そのほかに、非NATOのフィンランド、米国、NATO加盟のバルト諸国との防衛協力を進めようとしている。「オーロラ・17」はそれを示すものであった。今のところ政府はNATO加盟を排除している。スウェーデンの左派には反米主義がまだある。ヴァルストローム外相は、スウェーデンのNATO加盟がプーチンを挑発することを恐れている。それにフィンランドはスウェーデンと一緒にNATO加盟はしないだろう。

 NATOがスウェーデンの加盟を歓迎する理由はある。バルト3国の防衛はスウェーデンの領土、空域へのアクセスが保証されていないと困難になる。

 今のところスウェーデンのNATO問題ははっきりしないが、来年の総選挙では大きな争点になる。もしスウェーデンがNATO加盟を決断すれば、プーチンは彼自身を責めるしかない。

出典:‘As Russia threatens, Sweden ponders joining NATO’(Economist, September 21, 2017)
https://www.economist.com/news/europe/21729554-vladimir-putins-mock-attacks-scandinavia-could-make-swedes-end-200-years-neutrality

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