WEDGE REPORT

2017年11月21日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。1972年共同通信社に入社、経済分野を取材し編集委員などを経て2010年に退職し、現在は経済ジャーナリスト。

 ハガティ駐日米国大使はこのほど、日本記者クラブでトランプ米大統領が日本を含むアジア諸国を訪問した成果と日米関係について講演した。日米の経済問題について「トランプ大統領と安倍晋三首相による日米首脳会談では、貿易赤字を解消するためのツールとして日米間のFTA(自由貿易協定)が話し合われた」と述べた。

ハガディ大使(日本記者クラブ提供)

 また両首脳の共同記者会見でトランプ大統領が「日本が新たな防衛システムを購入すれば、貿易赤字が解消する」と指摘したことについてハガティ大使は「米国の先端技術を日本に提供することで原則合意しただけで、特定の兵器システムを提供する話には至っていない。これは日本の安全保障能力を拡大するためで、貿易面で米国にプラスになるかもしれないが、それが目的ではない」と述べた。

日米関係は盤石

 今回の大統領の訪日とアジア諸国の歴訪について「安倍首相との関係が強化され、安全保障と貿易問題で前進することができた。またこのアジア地域が米国の外交政策にとって不可欠であることを示した」と総括した。日米関係は「日米同盟はアジア太平洋地域の要石で、アジア太平洋地域の安全保障環境は厳しくなっているが、米国が日本を守るというコミットメントはゆるぎない。日本がより大きな目的を担うことで日米関係はより強固になり、日本の防衛能力と日米の相互運用能力の拡大につながる」と述べ、「両国の関係は過去を振り返ってみて、いまは盤石である」と強調した。

TPPには参加しない

 「安倍政権はTPP(環太平洋経済協定)11(イレブン)にフォーカスしていることは理解できるが、今の条件では米国はTPPには参加できない」と指摘、トランプ政権がTPPに戻る意思がないことを示した。FTA交渉については「日米間の経済対話の場である麻生副総理、ペンス副大統領の会談でもテーマになっている。日米の貿易赤字を減らすにはほかの方法もあるが、FTAは赤字を減らす方向性に沿っており、貿易不均衡を是正する可能性がある」と強調、FTA交渉に強い期待感を示した。しかし、交渉時期については「いつまでに交渉をするかなどに関しては決まってない」と述べるにとどまった。

 FTAについては、米国側は貿易赤字削減につながる有効な手段とみているが、日本側は農産物などの分野で一層の市場開放を求められることから警戒感が強く、交渉の具体化では双方にまだ開きがある。一方、ほかの国とも「高い基準で2国間交渉を進めたい」と語り、トランプ政権は米国の利益を優先しながら通商交渉を進める方針だ。

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