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2017年12月14日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。1972年共同通信社に入社、経済分野を取材し編集委員などを経て2010年に退職し、現在は経済ジャーナリスト。

 民泊について新しいルールを定めた住宅宿泊事業法(民泊新法)が来年6月15日から施行されるのを前に、同法の制定を強く働き掛けてきた百戦錬磨の上山康博社長にインタビューした。「新法の施行により、これまで何万件とあった営業許可なく旅行者を泊めるヤミ民泊撲滅のきっかけになると考えている。現在、旅館業法改正案が国会で継続審議されており、違反者に対する罰金強化と当局による立ち入り検査権限も盛り込まれているので、是非とも成立してほしい」と述べ、安心安全な民泊サービス提供のために早急に無許可、無登録のヤミ民泊の根絶を求める考えを明らかにした。

(anyaberkut/iStock)

厳罰化の効果

 日本では現時点で、民泊をするためには旅館業法の認可が必要で、大阪や東京で認められている民泊特区では施設が一定の要件を満たせば営業できる。しかし、多くはこれらの認可なく行われているヤミ民泊が横行していることから、旅館業界で反発が強まり、ヤミ民泊をしているマンションの入居者との間でトラブルになるなど社会問題化していた。これを受けて立法化の動きが強まり、今年の6月に民泊新法が成立した。来年の6月からは、全国的に合法での民泊が解禁され、一定のルールを守れば誰でも民泊事業が行えるようになる。

 上山社長は「民泊仲介業者は観光庁長官への登録が必要になる。また、民泊を代行している業者も多くいるが、こうした業者も登録制になる。外資系仲介サイトも法の枠組みに入るため、かなりのヤミ民泊が淘汰されるのではないか」と指摘、今回の民泊新法の実効性が担保されれば、ヤミ民泊仲介業者と同代行業者は日本では事業ができなくなる見方を示した。

 その上で「現行の旅館業法では法律に違反した場合の罰金が3万円だが、これが100万円程度にまで引き上げられる。これだけ罰金が厳しくなれば、飲酒運転の罰則を強化して飲酒運転が減ったように、ヤミ民泊をしようとする業者に対して抑止効果が働くだろう」と述べた。

監視員の配置を提案

 また新法の実効性を担保するために「最初の1年間くらいは『ヤミ民泊バスターズ』のような監視員を置いて、業者にきちんと法律を守らせるようにすべきだ。そうすることで、新しいルールのもとで旅館業を自由競争させ、ビジネスを正常な形で伸ばしたい」と強調、監視員の設置を提案した。

 京都、軽井沢など有名観光地を抱える自治体で、新法で定められたルールを各自治体の独自判断でより厳しく運用しようという動きがあることに対しては「ルールを守ろうとする人に規制を強化するよりも、ルールを守っていない人に守らせることが先決だ」と述べ、ヤミ民泊撲滅に向けての取り組みを優先すべきだとの考えを示した。 

 新法の施行を受けての百戦錬磨の方針については、「民泊予約サイト『ステイジャパン』に900件ほど施設を公開しているが、新法施行の来年6月15日以降には急激に増加するだろう。今年7月、大阪の特区民泊を活用した1棟民泊マンションを開業したが、このような自社運営の宿泊施設を今後、東京や京都にも増やしていきたい」と述べ、来年から民泊運営ビジネスの拡大も計画している。

ラグビーワールドカップで「地方開国」

 インバウンド客のさらなる増加が見込まれている2020年の東京オリンピックについては「東京五輪の前年の19年のラグビーワールドカップが開催される。これで欧州を中心に40万~50万人の外国人がやって来て長期滞在する。ラグビーの試合は地方での開催もあるので、ラグビーワールドカップは、これまでインバウンド客の訪問先が東京や京都に偏っていたのが地方も訪れることになり『地方の開国』につながる」と指摘、「ラグビー効果」に大きな期待を寄せている。

 同社が取り組んでいる農村に泊まって地域の住民と交流したりイベントに参加する「農泊」については「政府が進めようとしているインバウンド客の地方誘導にもつながり、東京や大阪だけでない日本の姿を知ってもらう良い機会を提供できるので、積極的に取り組みたい」と述べた。

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