世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年4月9日

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 中国の台湾政策は、一方で軍事的併合をも辞さず、他方では台湾人の人心掌握と経済的取り込みを図ろうとする二つの柱が根幹である。このうち後者に関して、2月下旬に中国政府は台湾企業による対中投資と台湾人の中国における就職を加速させるべく、台湾の企業と個人を優遇する31項目の措置を発表した。これに対し台湾側は強い懸念を抱き、行政院は3月16日、概要以下のような対抗策を発表している。

(iStock.com/negoworks/Olga Kashurina/-ELIKA-)

 台湾の企業と人材を惹きつけるための中国による31項目の優遇措置に対し、行政院は、次の4つの政策的方向性からなる包括的計画を発表する。(1)質の高い教育と労働環境の構築により、台湾の企業と人材を惹きつけ引き留める、(2)台湾のグローバルなサプライ・チェーンにおける優位の維持、(3)資本市場の深化、(4)文化およびオーディオ・ビジュアル産業の強化。

 2月28日に発表された31項目の措置は台湾の利益のためとの名目だが、実際は中国の利益に資するものである。同措置は、台湾の技術・資本・専門的人材を動員し、中国が経済成長における困難を解決するのを助けようとするものである。

 中国はあらゆる分野から最も優れた頭脳を誘引しようと企てており、台湾は躊躇なく対抗しなければならない。台湾政府は、自由、民主主義、法の支配を基盤として台湾を強化し、経済を強化し、台湾を世界で最も優秀な人材を惹きつける国にする。

 行政院の対応計画は、次の8つの戦略を含む。

 1. 博士号取得者の優先的産業への就職斡旋、研究費の引き上げ等、学術的研究者への報酬の引き上げ。

 2. 大規模な国家基金による、革新的成長の促進。

 3. 労働者への報酬メカニズムの強化。

 4. 医療専門家に対する環境改善。

 5. 営業秘密法の改正、企業秘密違反への調査・起訴等を含む、企業秘密の保護強化

 6. グローバルなサプライ・チェーンにおける台湾の優位の維持を目的として、産業の革新と水準向上を後押しする。企業の先進的な機器・ソフトウェア導入への補助金、革新的産業へのAI導入加速、国内産業のグローバル企業との戦略的同盟形成への支援。

 7. 株式市場の活性化。

 8. 国内のマルチ・メディア部門の強化。

 台湾と中国の関係は相互主義に基づくべきで、両岸問題は両岸の人々の利益の確保を目的に二国間で交渉される手段に基づくべきである。

 国境を越えた人材の移動、企業のグローバルな拡大は、競争がもたらす不可避な結果である。これは、破壊的なショックと魅力的な機会の双方を作り出す。台湾は、あらゆる利点を活用し、自信をもって未来に立ち向かう。今は、イニシアティヴと行動の時でもある。台湾人は団結して、台湾を築き上げ、恐れることなくあらゆるチャレンジに立ち向かわねばならない。

出典:‘Executive Yuan responds to mainland China’s ‘incentives’ policy’, Department of Information Services, Executive Yuan, March 16, 2018
https://english.ey.gov.tw/News_Content2.aspx?n=8262ED7A25916ABF&sms=DD07AA2ECD4290A6&s=7C352D2DD4E6E544

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