世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年2月19日

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 ワシントン・ポスト紙元北京支局長のポンフレットが、中国が台湾を取ることは困難であるとする最近の研究を紹介しつつ、米台が台湾防衛に引き続きコミットする必要があると論じています。要旨は次の通りです。

(iStock.com/paylessimages/flowgraph/Tatyanash/ Meilun/Ingram Publishing)

 1月3日、習近平は、軍の会議で初めて「戦闘態勢」を命じた。中国では、中国が2020年までに軍事的手段で台湾を奪取すると予測する人達もいる。一方、トランプ政権は、米台関係の強化を約束し、米海軍の艦船の台湾への寄港を示唆した。

 長年、米国の専門家達は、台湾の「事実上独立した民主国家」という地位は、巨大中国の台頭で維持できなくなると考えてきた。ヘンリー・キッシンジャーもその一人である。

 しかし、近年、米国の専門家達は、中国が台湾を吸収するという想定に疑問をもち始めている。最近、ハワイの東西センターのDenny Roy上席研究員、とタフツ大学のMichael Beckley教授は、それぞれの研究で、中国が台湾を取れる能力及び意思について疑問を呈した。

 両者は、台湾の歓心を買うという点で中国の政策は失敗していると指摘する。台湾を標的にしたミサイル配備、台湾の人権活動家の投獄といった脅しは、統一への台湾の反対を強めた。昨年の世論調査では、台湾人の4分の3が中台は別の国と考え、一つの国とした者は14%だけだった。台湾人の半数が中国人とみなした20年前からは大きな変化だ。2016年1月には、独立派の民進党が初めて立法院で多数を獲得し、同党の蔡英文も総統選で勝利した。

 台湾との親善に失敗したら、中国は経済的梃子を使い得るのか。中国は台湾の最大の貿易相手国兼対外投資先だ。しかし、中国が台湾への投資を止めれば、台湾人の反感を買う。

 さらに、RoyとBeckleyは、中国の継戦能力を疑問視する。Royは、中国が台湾に対して軍事的手段をとれば、中国経済は打撃を受け、たとえ戦争に勝利したとしても、米国がアフガンやイラクで直面したような状況に陥ると指摘する。Beckleyは、中国による攻撃を検討し、封鎖、侵略、戦略爆撃、いずれも成功の見込みはないとする。台湾は15万の兵士を直ちに動かす能力を持っているし、台湾の海岸線の10%しか上陸に適さない。米国が台湾防衛に乗り出せば、8隻の米潜水艦により人民解放軍の上陸侵攻部隊の40%が沈められる。

 現在、中国は軍事予算の3分の1を台湾奪取戦争の準備に充てている。RoyとBeckleyは、米台政府には台湾の安全保障で協働し続ける義務があると主張する。 台湾は防衛費を継続的に増額する必要がある。昨年7月、蔡英文総統は、防衛予算を年3%増額し得ると述べたが、米国は台湾が防衛費を倍増することを望んでいると米政府高官は述べた。

 トランプ政権も台湾防衛強化の努力を継続する必要がある。12月に発表された国家安全保障戦略は、米台の強い紐帯の維持にコミットした。今や、米海兵隊が米国在台協会を防衛しようとし、大使館の態様が強くなる。昨年2月、初めて台湾の立法委員のグループが国務省の歓迎を受け、6月にはトランプ政権は14億ドルの対台湾武器売却を発表した。しかし、まだ出来ることはある。中台間ゲームの勝利は、まだ決まっていない。

出典:John Pomfret ‘Can China really take over Taiwan?’ (Washington Post, January 5, 2018)
https://www.washingtonpost.com/news/global-opinions/wp/2018/01/05/can-china-really-take-over-taiwan/

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