3月に米国が鉄鋼・アルミへの関税上乗せ(それぞれ25%、10%)を発表して以降、米中は互いに報復関税の検討を発表し合い、貿易摩擦が激化している。まず、米通商代表部(USTR)の3月22日付け発表の要旨は以下の通りである。
トランプ大統領は、通商法301条に基づくUSTRの調査(昨年8月、大統領の指示により開始)に挙げられた中国の不公正な貿易慣行に対抗措置をとることを発表した。同調査は、2017年8月、大統領の指示によりライトハイザー通商代表が開始したものである。
大統領は、中国の有害な行為、政策、慣行への適切な対応は次の3つの措置を含むべきである、と指示した。
1. 関税
2. WTOの紛争解決を通じた、中国による差別的な技術移転慣行への対応
3. 米国にとり重要と見なされる産業、技術に対する、中国の指示・促進による投資の制限
大統領は、中国との公正で相互主義的な貿易を強く主張し、不公正貿易に対しては我々の法律を厳格に実施しなければならないと明言した。これには、中国による国家主導の、米国の技術と知的財産に対する侵害、窃取に対抗する効果的な行動を含む必要がある。中国の前例のない不公正な貿易慣行は、米国のみならず、米国の世界中の同盟国とパートナー国への深刻な挑戦である。
中国政府による技術移転と知的財産政策は、「メイド・イン・チャイナ2025」などの、経済的主導権を握ろうとする国家的意図の一部である。
301条は、貿易相手国の様々な不公正な行為、政策、慣行に米国が対抗できるようにする鍵となる執行ツールである。同法に基づく「技術移転・知的財産権・技術革新に関する中国の行為・政策・慣行に対する調査」は、中国政府の4種類の行為(1.外国人による所有の制限、2.米企業による投資に対する大規模な制限、3.中国企業による先端技術獲得を目的とした米企業への投資・買収、4.知的財産・企業秘密等への不法なアクセス)が、米企業から中国への技術と知的財産の不公正な移転に繋がっている、としている。これらの政策は、米国のビジネス、労働者に害を与え、米国の長期的競争力を脅かしている。
USTRのレポートは、「グローバル経済が情報システムへの依存を高めるに従い、サイバー窃取は、商業情報を収集するために中国が好んで用いる手法の一つとなっている」として、「中国のサイバー侵入に関する入手可能な情報に基づき、中国のサイバー侵入および窃取は、産業政策と軌を一にしている」と結論付けている。
出典:‘President Trump Announces Strong Actions to Address China’s Unfair Trade’(USTR, March 22, 2018)