WEDGE REPORT

2018年5月15日

»著者プロフィール
閉じる

田中敬文 (たなか・たかふみ)

東京学芸大学教育学部准教授

早稲田大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。専門は公共経済学、特にNPO、教育の経済学。ジョンズ・ホプキンス大学政策研究所研究員、参議院文教科学委員会客員調査員を歴任。

 日本の18歳人口は、ピークだった1994年の205万人から次第に減少し、近年は120万人程度を維持していた。ところが、2018年から再び減少に転じ、31年には99万人と100万人をも下回る見通しである。さらに大学、短期大学、専門学校、高等専門学校4年目の合計の進学率は約81%(17年度)と頭打ちである。他方、私立大学・短大数は932校にも及び、定員割れの学校数も229校と約39%にも達する(下記グラフ参照)。また学校法人の17%が経営難に陥っている。

(出所)文部科学省資料などを基にウェッジ作成 写真を拡大

 大学・短大進学率を15年と同率と仮定した推計によれば、31年の入学者数は約56万人と、15年の約68万人に比べて約12万人も少なくなる。仮に進学率が高まるとしても、定員を満たすことのできない大学がより一層増えることが予想される。こうして大学の淘汰(とうた)が本格化することを大学の「2018年問題」と呼ぶ。

 この「2018年問題」は的確な人口予測に基づくものであり、以前から顕在化していたことである。にもかかわらず、文部科学省は大学全体のグランドデザインを描くことなく、私大の新設を認めてきた。大学と短大を設置している文科省管轄の学校法人数の推移を見ると、05年の660に対して17年には664と微増している(この間、法人の合併による減少は12、解散による減少は15であり、逆に31増加している)。

 筆者が開学間もないある地方私大へ出かけた際、定員を大きく下回る学生数に驚いたことがある。経営を持続できるのか心配になり、経営者に話を聞くと、幼稚園や高等学校の長年の経営で蓄えた資金で何とか切り盛りしているとのことだった。こうした事例は氷山の一角である。

「公立化」の未来は暗い
追い詰められる地方私大

 日本では大学数でも学生数でもその約7割は私大が占めているが、特に問題となるのが、進学者のパイそのものが小さくなっていく中、定員割れが深刻化していく地方の私大である。今後こうした経営基盤の弱い私大の処遇が問題となる。

 一方で地方自治体にとっては、域内の大学の存続は人口維持にも関わってくる。そこで、公費を投入してでも私大を存続させようと手を打つ例が目立ってきている。山口東京理科大学は16年度に地元の山口県山陽小野田市により公立化され、学費が下がったことにより倍率が数倍に跳ね上がった。他にも17年度までにすでに6大学が公立大学となり、18年度には、新たに石川県の公立小松大学と長野県の公立諏訪東京理科大学が誕生した。地元としては設立時に土地や資金などで支援し、若者の流出を何とか防ぎたいとの思惑がある。

関連記事

新着記事

»もっと見る