赤坂英一の野球丸

2018年6月27日

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 楽天・梨田昌孝監督のシーズン途中での辞任が波紋を広げている。今月16日、本拠地・楽天生命パーク宮城での阪神戦に敗れた試合後、梨田監督自ら立花陽三球団社長に対して辞意を表明。決断の理由として、この時点で21勝41敗1分けと借金20に達したこと、とりわけホームで7勝24敗と地元ファンの期待を大きく裏切ったことを挙げている。

 一見潔い態度に映るものの、割り切れない思いを抱いたファンも多いだろう。梨田監督は近鉄、日本ハムで優勝し、監督生活12年目の今年は5月25日のソフトバンク戦で通算800勝も達成。それだけの実績がありながら、楽天は休養という形すら取らず辞任を承諾。梨田監督も、選手やコーチ、三木谷浩史オーナーに直接辞意を伝えることなく、マスコミ発表を済ませてユニフォームを脱いだ。

(Zoran Milich/GettyImages)

 この寂しい辞任劇の裏側には、三木谷オーナーや立花社長らフロント幹部と梨田監督の間に生じた意見の対立があったという。今季は選手の一・二軍の入れ替え、毎試合のスタメンの決定など、監督の専権事項にフロントが介入。親会社がIT企業大手の楽天は、球界でも屈指のデータ収集分析システムを誇っており、そこから割り出した人選や用兵を優先させることが増えていたようだ。

 楽天では、大久保博元監督時代の2015年にも、三木谷オーナーによる現場介入が表面化した。このときは選手の信望が篤かった田代富雄打撃コーチ(現巨人二軍打撃コーチ)が異議を唱えてシーズン途中で退団。私自身、当時の内情について、大久保監督やコーチ陣から様々な事例を聞かされたものである。

 結局、大久保監督は1シーズン限りで退団し、16年から梨田監督に交代。また同じことが繰り返されるのではないか、という危惧を梨田監督の周辺関係者にぶつけると、「今度は大丈夫だ。星野(仙一球団副会長)さんが梨田さんのタテになるから」という答えが返ってきた。そのおかげだろうか、梨田監督2年目の17年は夏場まで首位争いを展開し、前年の5位から3位に浮上している。

 しかし、後ろ盾の星野氏が1月に亡くなり、ふたたび三木谷オーナーや立花社長の発言力が増してきたようだ。かつて、大久保監督に指示を出していることが発覚した際、三木谷オーナーは「介入ではなく現場とフロントの一体化」という言葉で釈明した。その当否は置くとしても、15年の田代コーチに続いて、今年の梨田監督と、球団が三顧の礼を持って迎えた指導者がシーズン途中で球団を去ったという事実は動かない。

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