赤坂英一の野球丸

2018年5月30日

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 紛糾と混迷を続ける日本大学アメフト部の危険タックル問題、プロ野球の取材でも関係者との間でよく話題になる。かつては球界も、死球やクロスプレー(塁上での走者と野手との衝突。2016年のコリジョンルール導入後はほぼ消滅)を巡って、乱闘が起こったり、NPBへ提訴が行われたりといった騒ぎに発展したもの。それだけに、「他人事とは思えない」という関係者は少なくないのだ。

(8213erika/iStock)

 そうした球界関係者の目に、危険タックル問題はどのように映っているのか。まず5月6日、日大の宮川泰介選手(3年)が関西学院大学のQB奥野耕世選手(2年)に行った背後からのタックルについて、元選手でコーチ経験もあるプロ野球OB評論家はこう言っている。

 「あの反則タックルは、関学のQB奥野選手がボールを持っていない状態で、審判が笛を吹き、試合がストップした直後に行われた。野球に例えれば、プレーに入っていない状態で、守備側の野手か投手が、攻撃側のネクストバッターサークルの打者に向かって、背後からボールをぶつけたようなものでしょう。プロ野球では頭部への死球を危険球と見なし、02年からセ・パ両リーグともぶつけたら即退場とするルールに統一された。それよりもっとひどい、悪質極まる反則に相当するのが、あの日大の危険タックルなんですよ」

 次に、ファームでの指導者経験を持つ球界関係者は、「日大の内田(正人)監督や井上(奨)コーチらが、試合後にすぐ関学大側に謝罪に出向かなかったのもおかしい」と指摘した。

 「危険タックルが監督やコーチの指示によるものであったにしろ、なかったにしろ、日大側がケガをさせたことは事実です。あの反則の直後、関学のQB奥野選手は負傷退場している。もし野球で相手チームの選手にケガをさせたら、故意か故意でなかったかにかかわらず、監督かコーチが相手の首脳陣に電話して謝罪しますよ。さらに、加害選手が被害選手に対して直接お詫びする機会を作れないかと話し合う。最低限、それぐらいのことをやらないと、長いシーズンを戦うための信頼関係を保てない」

 私が取材したケースで、印象的だった一例を挙げよう。11年8月7日の広島-巨人戦、広島・今村猛が巨人・長野久義の顔面に死球をぶつけ、病院に救急搬送されたときのことである。

 試合終了後、大野豊投手コーチはすぐに原辰徳監督に電話して謝罪。今村自身もチームの先輩・篠田純平(長野の日大の後輩)から長野の携帯電話の番号を教えてもらい、自ら電話をかけて謝罪している。その後、広島と巨人がふたたび対戦した際には、今村が巨人ベンチを訪ねて長野に頭を下げた。

 ちなみに、長野はこのとき、「こんなことで自分のピッチングができなくなったりするんじゃないぞ」と今村を激励している。のちの16年に中継ぎ投手として25年ぶりの優勝に貢献した今村にとって、このときの長野の言葉は極めて大きな意味を持ったに違いない。

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