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2018年7月13日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

 三菱重工業傘下の三菱航空機で開発・製造が進められている国産初のジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)の行方が注視されている。これまで「型式証明」の取得の遅れや部品設計の見直しなどで、5回にわたり納入が延期、開発費用は6000億円に膨れあがっている。このお荷物MRJが「離陸」(商業飛行)できるのかどうか危ぶまれてきたが、7月16日から22日まで英国ロンドン近郊で開かれる「ファンボロー航空ショー」で初めてフライトを披露する飛行展示を行う計画だ。

MRJ(アフロ)

投資家見守る

 世界の航空専門家が見守る中で無事にフライトができれば、これまで失ってきたMRJの信頼回復に向けPRできるが、何らかのトラブルが起きると大きなダメージになる恐れがある。最悪の場合、事業撤退に追い込まれる可能性もあり、長年にわたり支援し続けてきた三菱重工業をはじめ三菱グループにとって開発の命運を左右する大きな賭けともいえるイベントになる。三菱重工業の投資家もMRJが果たして「テークオフ」できるのかどうか不安視しているようで、同社の株価はこのところ4000円前後で推移しており、模様眺めになっている。

 三菱重工業の6月21日に開催された株主総会では、正面に設けられたビデオスクリーンにMRJの飛ぶ姿が大きく映し出され、何とか商業飛行にこぎつけたいという強い期待感が現れていた。宮永俊一社長は「私の責任でMRJのめどをつける」として、今年の春に三菱重工の社長の続投を表明、債務超過に陥っていた三菱航空機に対して1000億円の資本注入を決断した。

 MRJは客席が70~90席、航続距離3370㌔の小型ジェットで、機体の一部に炭素繊維を使うなどして軽量化に力を入れ、燃費を従来機より20%改善、騒音も50%も小さくするなど最新鋭の技術を駆使している。経済産業省を含め航空業界は、1971年に180機を生産して製造打ち切りとなったターボプロップ型エンジンの旅客機YS-11に次ぐ国産旅客機として開発を応援してきた。

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