栖来ひかりが綴る「日本人に伝えたい台湾のリアル」

2018年7月17日

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栖来ひかり (すみき・ひかり)

台湾在住ライター

京都市立芸術大学美術学部卒。2006年より台湾在住。日本の各媒体に台湾事情を寄稿している。著書に『在台灣尋找Y字路/台湾、Y字路さがし』(2017年、玉山社)、『山口,西京都的古城之美』(2018年、幸福文化)がある。 個人ブログ:『台北歳時記~taipei story』

 あの豪雨から一週間以上がすぎた。

 テレビやネットで目にする西日本各地の深刻な爪痕に、胸を痛めている方は多いだろう。台湾在住の筆者もちょうど故郷の山口県に帰省中だった。実家のあるエリアは、2009年の豪雨の際に少なからぬ被害がでた場所だったので、今回も降り止まぬ雨のなか、避難勧告が出て肝を冷やした。幸いにも被害はなかったが、台湾の友人・知人から安否を尋ねるメッセージを沢山頂いた。

2018年7月8日、岡山県倉敷市真備町にて(写真:ロイター/アフロ)

 今回の豪雨被害は、台湾でも大きく報道されていたようで、SNSでもリアルタイムで多くの関連情報がシェアされていた。ひとつの事象についてSNSが埋め尽くされる現象を中国語(台湾華語)のネット用語で「洗板」(シーバン)というが、まさに当時は西日本集中豪雨の話題で「洗板」されていた状態だったから、台湾の人々がいかに日本に心を寄せてくれているか分かった。

自然災害の様相がそっくりな日本と台湾

 日本の災害は多くの台湾人にとって他人事ではない。蔡英文総統も、先日の大阪府北部地震につづき、他国に先駆けてお見舞いの言葉を自身のツイッターアカウントで発信した、しかも「日本語」で。日本の安倍首相も花蓮の地震のとき、毛筆/中国語で応援の言葉を送り台湾人の歓心を得た。国際社会の外交にありがちな紋切型から大いにはみ出していく日台のこうした友好は大歓迎だけれど、今回の蔡英文総統のツイートには、特に温かいものを感じた。


 実際、筆者の実家がある山口県中部で大きな豪雨被害があったのと同じ2009年の夏、台湾南部でも大型台風による「88水害」が発生し、死者・行方不明者 758 人、14 万戸もの世帯が浸水し、ほぼ一つの村が失われている。

 雨だけではない。台湾と日本はどちらも、フィリピン海プレートとユーラシアプレートの接合部に位置する。体感だけでいえば、台湾で少しおかしな揺れ方をしたな、と筆者が感じた数日以内に日本で大きめの地震が起こっていることはよくある。

 今年2月の台湾東部・花蓮の震災でも、早い時期に日本の救援隊が現地入りしたことが話題になったが、地震のみならず、火山、土砂災害、豪雨災害など、自然災害の様相がそっくりな日台間では、関係が親密になってゆくにつれて、災害時の共感も増しているように思う。

ZOZOTOWNによる災害支援も台湾で話題に

 今回の西日本豪雨災害で印象的だったのは、日本のアパレル会社で「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイ社による企業と自治体間での支援物資についての提供方法が、台湾SNSでも話題に上り称賛を受けたことである。

 今年2月の花蓮地震の際にも、現地での支援物資に対する「二次災害」(「善意」による個人からの大量の物資が、現地で捌き切れないばかりか、物流や救援を阻害してしまう現象)は大きな課題となった。

 いつまた次なる災害の環境下に置かれるかを踏まえ、隣国からそうした際の対応をどう学び得るか、台湾の人々の謙虚さ・真摯さに触れた思いがした。

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