赤坂英一の野球丸

2018年8月15日

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 現在、阪神甲子園球場で開催中の高校野球選手権、今回は第100回記念大会とあってか、マスコミの報道も例年以上に情報量が多い。テレビ、活字、ネットと毎日のように「金の卵」や「ドラフト1位候補」という見出しが踊っている。しかし、現時点でのこの評価、どこまで信頼するに足るものなのか。

(gyro/Gettyimages)

 好選手がそろっていることは確かである。手前味噌ながら、私が拙著『野球エリート/野球選手の人生は13歳で決まる』(講談社+α新書)で取り上げた選手たちも活躍中だ。根尾昂(内野手兼投手・大阪桐蔭3年)は、持ち前のセンスに加え、身体の厚みが増し、一層逞しくなってきた。稲生賢二(外野手・愛工大名電2年)も持ち前の勝負強さに磨きがかかっている。愛知県大会では親友・石川昂弥を擁する東邦と決勝で激突、先制タイムリーに2本塁打を放ち、自身初の甲子園出場を果たした。

 大会が幕を開けてからは、秋田からやってきた吉田輝星(金足農3年)の力投ぶりが目を引く。1回戦の鹿児島実戦では9回を完投して9安打1失点。球数が157球と多かったのが気になるが、高校球界でも球が飛ぶようになったこの時代に14奪三振をマークしている。身長176㎝と今時の高校球児としては小柄ながら、秋田県大会では最高速度150㎞をマーク。加えて、変化球のキレ、コントロール、フィールディングも優れており、早くも「PL学園時代の桑田真澄を彷彿とさせる」とマスコミではもっぱらだ。

 根尾の向こうを張るもうひとりの二刀流、エース兼4番、野村佑希(花咲徳栄3年)の評価も高い。1回戦の鳴門戦は、投手としては5失点と打ち込まれたものの、打者としては高校通算57号のソロ本塁打を含む2安打3打点。ネット裏に陣取ったプロのスカウトの間でも、「インコースのさばき方がうまい」「将来の右の大砲候補」と賞賛の声が相次いでいる。

 今大会はほかにも、投手で山田龍聖(高岡商業3年)、渡邉勇太朗(浦和学院3年)、及川雅貴(横浜2年)、野手で林晃汰(智弁和歌山3年)、大谷拓海(中央学院3年)が今秋のドラフト候補とされている。が、彼らが全員上位で指名され、来年からすぐにプロでも活躍できるようになるかといえば、話は別だ。

 昨年の甲子園は長距離打者の〝当たり年〟と言われ、高校通算最高記録と言われる111本塁打を放った〝怪物〟清宮幸太郎(早実→日本ハム)をはじめ、昨夏の第99回大会で1大会6本塁打の新記録を達成した中村奨成(広陵→広島)、清宮のライバルと言われた〝西の大砲〟安田尚憲(履正社→ロッテ)らがドラフト1位でプロ入りした。しかし、彼らが全員、いまだ二軍で修行中であることは、野球ファンならよくご存じの通り。

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