今月の旅指南

2011年6月24日

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狩野直美 (かのう・なおみ)

東京生まれ。フリーライター。旅行業界誌の記者・編集者を経て、1994年からフリーランスに。主に海外旅行関連誌、ウェブマガジン等に記事を執筆中。

 今年も大牟田〔おおむた〕の夏をひときわ熱くする祭りの季節がやってくる。太鼓が打ち鳴らされ、笛が吹かれ、「ヨイサー」「エイヤサー」と威勢のよい掛け声とともに、200人から300人の引き手による巨大な山車“大蛇山〔だいじゃやま〕”が目抜き通りを練り歩く。まるで大蛇が火を噴くかのように花火が炸裂すると、祭りの興奮も最高潮に達する。

各地区自慢の大蛇山が通りを練り歩き、祭りのために作られた特製花火が火を噴く

 おおむた「大蛇山」まつりの起源は今から300年以上前にさかのぼる。江戸時代に始まった大牟田の祗園祭の伝統が、古くからの水神信仰と融合したものというが、それにしてもなぜ大蛇なのか。

 「大蛇の起源は、三池〔みいけ〕地方に伝わるツガネ(沢ガニ)伝説に由来するといわれます。ツガネが暴れる大蛇をハサミで3つに切り分けたところ、それぞれが池となり、それが三池になったというものです。元来、大蛇は水神の象徴であり、その霊を慰めるためと五穀豊穣を願って、この祭りが行われるようになったとされています」

 と語るのは、おおむた「大蛇山」まつり実行委員長の西村和久さん。かつてはそれぞれの地区で行われていた大蛇山まつりが、昭和36(1961)年に、三池港の港まつり、それに炭坑節で知られる炭都〔たんと〕まつりと合体、現在の形になったのだとか。

 各地区の大蛇山の中でも古い歴史を持つのが、旧三池藩領の新町と旧柳川藩領の本町で、昨年大牟田市無形民俗文化財に指定された。これら2つを含む6つの伝統ある大蛇山が「祗園六山〔ぎおんろくざん〕」と呼ばれる。一方で、近年作られたその他の地区の大蛇山も15山あり、それらが行き交う光景は圧巻だ。

 この大蛇の口でかんでもらった子どもは、無病息災で過ごせるという。地元っ子なら一度は体験している“かませ”の儀式だ。

 「祭りのもう1つのハイライトは1万人の総踊りです。これは炭都まつりの伝統を受け継いだといわれており、曲目は炭坑節と大蛇山ばやし。飛び入りも歓迎ですよ」

 暑い季節の熱い祭りに、参加者はもちろん見物客も汗だくになる。それも夏祭りの醍醐味だ。

おおむた「大蛇山」まつり
〈開催日〉2011年7月23~24日
〈会場〉福岡県大牟田市・大正町おまつり広場(鹿児島本線大牟田駅下車)
〈問〉おおむた「大蛇山」まつり振興会 0944(52)2238
http://www.omuta-daijayama.com/

◆ 「ひととき」2011年7月号より

 

 

 

 

   

 
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