赤坂英一の野球丸

2018年10月3日

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(ComicSans/AFLO)

 広島が68年にわたる球団史上初にして、セ・リーグでは巨人以外初めての3連覇を達成した。球史に残る歴史的快挙と言っていいが、ある意味、戦いの〝本番〟はこれからである。いまやリーグ優勝までは当然と見られるほどの常勝チームとなった広島にとって、今年は日本一奪回が至上命題となっているからだ。

 広島は日本シリーズで阪急(現オリックス)を4勝3敗でくだした1984年以降34年間、日本一の座から遠ざかっている。25年ぶりに優勝した一昨年は、日本シリーズで日本ハムに2連勝から4連敗で敗退。2連覇した昨年はCS(クライマックスシリーズ)ファイナルステージで、アドバンテージを含む2勝からDeNAに4連敗して日本シリーズに進出できなかった。いずれも幸先よく先勝しながら、相手の反撃に遭うと意外な脆さを見せ、ズルズルと後退してしまった印象が強い。

 敗因の一つは若き主砲・鈴木誠也にある。一昨年、流行語大賞に選ばれた「神ってる」打棒で大ブレーク。今年は引退する新井貴浩に代わってすっかり4番に定着した感があるが、ことポストシーズンとなると、一昨年は極端な打撃不振、昨年は故障(右足脛骨剥離骨折)で欠場と、ここ2年連続でいいところがないのだ。

 とくに一昨年のCSでは、〝シリーズ男〟ならぬ〝逆シリーズ男〟になってしまった。全4試合に出場して12打数1安打で打率8分3厘、打点も僅かに1。打率3割3分5厘、95打点、29本塁打をマークしたシーズンとは別人のような体たらくで、試合が終わるたびにベンチ裏のスイングルームにこもり、黙々と素振りを繰り返していたものだ。

 短期決戦の場合、最初に波に乗り損ねると、どれほどの好打者でもいわゆる〝ドツボ〟にハマってしまうケースが多い。例えば2017年の日本シリーズでソフトバンクに2勝4敗敗れたDeNAでは主砲の筒香嘉智、1番打者の桑原将志の不調が最後まで響いた。また、15年のシリーズでソフトバンクに1勝4敗で寄り切られたヤクルトは、トリプル3男の山田哲人が第2戦まで振るわず。第3戦で3本塁打するも時すでに遅く、第4戦でソフトバンクに日本一をさらわれてしまった。

 球史をさらに遡ると、まだCSのなかった1995年は、首位打者だったオリックスのイチローがヤクルト・野村克也監督による〝内角攻め〟で沈黙させられた。冒頭に書いた1984年は、その年の3冠王だった阪急のブーマー・ウェルズが広島バッテリーに打率2割1分4厘に封じ込まれている。

 そんな〝逆シリーズ男〟の前例が山とあるだけに、今年のCS、日本シリーズでは鈴木が本来の打棒を発揮できるかどうかが気がかりなのだ。優勝決定時点までのシーズン成績、打率3割2分1厘、30本塁打、91打点(9月27日現在、数字は以下同)を見る限り、今年こそ主砲ならではの活躍を見せてくれるものと期待したいが。

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