WEDGE REPORT

2018年10月4日

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大河原克行 (おおかわら・かつゆき)

ジャーナリスト

電機、IT産業を中心に幅広く取材、執筆活動を行う。『ソニースピリットはよみがえるか』(日経BP社)など。

昨年のCEATEC(提供CEATEC事務局、以下同)

 「CEATEC JAPAN 2018 ―CPS/IoT Exhibition―」が、2018年10月16日~19日の4日間、千葉県・幕張の幕張メッセで開催される。

 CEATEC JAPANは、2016年に、「脱・家電見本市」を宣言。IoTをメインテーマにした「CPS/IoTの総合展」へと転換を図っている。その転換は成功し、来場者の約3分の1が初めての来場者であり、約50%を新規出展企業が占める。しかも、これが2年続いたことで、CEATEC JAPANは、まさに様変わりしたといえる。だが、国内唯一の「家電見本市」が姿を消したことで、長年、CEATEC JAPANを訪れていた来場者や、これまでの出展企業からの不満の声があるのも事実だ。CEATEC JAPANはどこに向かおうとしているのだろうか。

 三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、コマツ、ローソン、三菱地所、トヨタ自動車、バンダイナムコ、JTB、ファナック、アマダ、ライオン、NEXCO東日本、LIXIL、イオンクレジットシステム--。

 10月16日から開催されるCEATEC JAPAN 2018の出展企業の一覧に書かれた企業名だ。

 CEATEC JAPAN実施協議会の鹿野清エグゼクティブプロデューサーは、「会場内で異業種企業が多く出展するIoTタウンには、昨年は、金融、観光、スマートライフ、エンターテインメントの4つの産業界から出展があったが、今年は、農業、建設・土木、都市インフラ、スマートシティ、医療・ヘルスケア、物流・流通の6つの産業界から新たな出展がある。合計で10の産業界から、20社のフロントランナー企業が出展することになり、日本の産業界のかなりの部分をカバーできる」とし、「これらの出展企業の名前だけを見ると、CEATEC JAPANはなんの展示会だといわれるかもしれない」と笑う。

 確かに、「家電見本市」には似つかわしくない企業名ばかりだ。

 一方で、会場内で最大規模のブースを構えるのは、三菱電機、富士通、シャープの電機大手3社。ソニーと東芝は今年も出展を見送り、パナソニックは、10月末に開催する創業100周年記念フォーラムの「CROSS VALUE INNOVATION FORUM 2018」にリソースを集中するため、家電やテレビなどの展示は行わず、部品の展示に限定した。

 大手電機の足並みは揃わないが、異業種企業が続々と参加する。これがCEATEC JAPANの新たな姿である。

 CEATEC JAPANは、今年で19回目を迎える。

 かつての「エレクトロニクスショー」と「COM JAPAN」の2つの展示会を統合して、第1回目のCEATEC JAPANを開催したのが2000年。それ以来、「最先端ITエレクトロニクスの総合展示会」として発展を遂げてきた。

 ピークとなった2007年には、国内外895社の企業および団体が出展し、20万5859人の来場者数を記録。日本の電機産業が、世界のデジタル化を牽引しているかのように見えた。

 だが、それ以降は、リーマンショックによる経済環境の悪化や、テレビやパネルで国際競争力を失った日本の電機大手の業績悪化などの影響もあり、出展を取りやめる企業が相次ぎ、出展社数や来場者数は減少していった。一時は自動車メーカー各社が出展し、CEATEC JAPAN会場内にクルマを走らせたこともあったが、それでも、来場者数は増加せず、CEATEC JAPANの迷走ぶりを際立たせただけだった。

 テコ入れのために、2016年に、CEATEC JAPANは、「CPS/IoTの総合展示会」に転換した。今年は、それから3回目のCEATEC JAPANだ。

 転換後の成果は出ている。

 来場者数は2015年を底に増加に転じ、2016年は14万5180人、2017年は15万2066人を記録。9年ぶりに、一日平均3万8000人の来場者数を突破した。今年は一日平均4万人を想定し、会期中16万人の来場を見込む。

 異業種各社がCEATEC JAPANに出展する背景には、この展示会を、共創の場に位置づけていることが見逃せない。

 今年で3年連続でのIoTタウンへ出展する三菱UFJフィナンシャル・グループは、銀行仮想通貨であるMUFGコインを展示し、来場者との対話を通じて、応用領域の可能性を模索してみせた。今年は、100%子会社であるJapan Digital Designが出展し、展示エリアを2倍に拡大するという。

IoTタウン

 また、同じく3年連続で出展するJTBグループでは、旅マエ、旅ナカ、旅アトといった旅に関する新たな提案のほか、地域活性化や自治体との連携提案なども展示をしてきた経緯がある。

 同社では、「なぜ、JTBが出展しているのかと聞かれることが多かった」と前置きしながらも、「お互いの技術を組み合わせると、こんなことができるのではないかといった提案を数多くもらえたことは、うれしい驚きだった」とする。

 今年も実証実験中の取り組みをはじめとして、新たなテクノロジーを活用したソリューションの展示を予定しているという。

 CEATEC JAPAN実施協議会の鹿野エグゼクティブプロデューサーは、「日本が目指すSociety 5.0の『ショーケース』ともいえる展示が行われており、産業の枠を超えた企業同士、あるいはスタートアップ企業や海外企業、政府・自治体などが、共創するきっかけになる展示会という認識が高まっている」とする。

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