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2018年9月24日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

(antoniotruzzi/Gettyimages)

 月への旅行、その最初の乗客が日本でZOZOTOWNを展開するスタートトゥデイの前澤友作氏ということで話題を呼んだスペースX。しかし、この華々しい発表の翌日には米司法省がテスラを正式に捜査中であることが明らかにされた。理由はマスク氏がツイッターで「テスラ株を420ドルで買い戻して非上場にする」とつぶやいたこと。

 結局2週間後にはこの発言は撤回されたが、発言によりテスラ株は乱高下し、マスク氏の発言は株価操作に当たるのではないか、という疑いが持たれている。また月旅行発表前日には、タイの洞窟で少年らが遭難した事故の際マスク氏が英国人ダイバーを「小児性愛者」呼ばわりしたことで、相手から提訴もされている。

 このほかにもネットニュースの取材中に大麻を吸引したのでは、という疑惑もあり、マスク氏の精神状態を危ぶむ声、経営者として適格ではない、とCEO退任を求める声まで株主からは挙がっている、と言われる。

 月への旅行計画はこうしたネガティブなイメージを払拭する夢のある話題でもあるのだが、専門家の中からは「あと5年で月の周回旅行を民間会社が実現するのは無理なのでは?」という声も聞かれる。そもそも今回あえて最初の旅行者を発表したのは前澤氏からの資金提供なしには計画は前には進まなかったため、とも言われているのだ。

 テスラのモデル3の量産計画にしても、資金的にはショートしており、予約販売形式で40万人から集めた予約金なしには計画を進めることはできなかった。現在あまりの納品の遅れに予約を取り消す人が続出しているが、それが悪循環となりまた計画が遅れる、つまりテスラの経営状態はまさに自転車操業状態に陥っている。

 すぐれたアイデアを持つマスク氏は、ひとつの事業の成功に満足せず成功から得た資金をすぐに次の起業へと回してきた。その行動力があるからこそテスラに続きスペースX、そしてトンネル会社のボーリング、さらにはスペースX内で開発が進められるハイパーループなど、奇想天外とも言えるアイデアを実現し、ある程度の成功を収めてきた。しかし時代や社会インフラがマスク氏の頭脳に付いていけていない、という現実もある。

 その好例が、ボーリング社がロサンゼルス地区で発表した「自宅のガレージに地下トンネルへのエレベーター建設」計画だろう。ボーリング社は現在ロサンゼルスの西、ブレントウッド地区から空港周辺、ロサンゼルス港と市の中心部、さらには市の中心部とドジャーズ球場を結ぶ高速地下トンネル計画を発表している。実現すれば現在渋滞などで30〜40分かかるルートを5分で結ぶ夢の地下ルートとなる。

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