前向きに読み解く経済の裏側

2018年11月26日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

(gustavofrazao/Gettyimages)

 今回は『老後破産しないためのお金の教科書 』の著者である塚崎が、老後は借家より持ち家に住むべきだ、と説きます。  

 かつて、高度成長期からバブルが崩壊するまでは、「地価は下がらないのだから借家より持ち家が得だ」と皆が考えていました。これを「土地神話」と呼びます。自宅を持つことが「一国一城の主人になる」といった気にさせていたということもあるでしょう。最近でこそ「所有価値より使用価値」ということでカーシェアなども始まっていますが、当時は「自宅を持つ」「マイカーを持つ」ということ自体がステイタスであり、自己満足の象徴だったわけです。

 そこで当時は、持ち家を買うためには住宅ローンを借りる必要があるため、ローンが借りられるか否か、返せる自信があるか否か、が持ち家と借家を分けていたと言っても過言ではないでしょう。

 しかし、バブルが崩壊して土地神話が信じられなくなると、「家は持たずに借りれば良い」という人が出てきました。「家族構成が変化するたびに、間取りの違う家に引っ越せば良い」といった事も借家派の主張の一つでした。

 少子高齢化による人口減少が意識されるようになり、空き家問題が意識されるようになると、長期的には不動産価格は下落していくのだろう、と考える人が増えてきて、これも借家派の論拠となっています。

 一方で、超低金利の時代ですから、住宅ローンを借りて自宅を購入して住宅ローン減税なども活用すれば、「毎月の支払い額が家賃並みで自宅が手に入る」という話も聞かれるようになりました。これは持ち家派の論拠でしょう。

 というわけで、両者それぞれに理がありますが、筆者は「持ち家派」です。その理由は、行動経済学的な理由と、リスク回避的理由(経済面)、リスク回避的理由(借りられないリスク)の3つです。

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