前向きに読み解く経済の裏側

2018年11月5日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

(itasun/Gettyimages)

 今回は『老後破産しないためのお金の教科書』の著者である塚崎が、公的年金制度の問題点について解説します。

サラリーマンの専業主婦が優遇されていて不公平

 公的年金の制度は、2階建てになっています。1階部分は国民年金で、20歳以上60歳未満の国内居住者は全員が加入します。2階部分は厚生年金で、サラリーマン(公務員、教職員等を含み、男女を問わない。以下同様)が加入するものです。

 国民年金の加入者は、3つのグループに分けられます。サラリーマンは第2号と呼ばれ、厚生年金保険料を給料から天引きされたことで、国民年金の保険料も支払ったものと見なされます。サラリーマンの専業主婦は第3号と呼ばれ、夫が厚生年金保険料を天引きされた事で、自分も国民年金保険料を支払ったものと見なしてもらえます。それ以外は第1号と呼ばれ、自分で年金保険料を納める必要があります。

 なぜ、サラリーマンの専業主婦は国民年金保険料を納めなくて良いのに、自営業者の専業主婦や失業者の専業主婦は納める必要があるのか、疑問というより不公平ですね。かつての日本は、皆が結婚し、サラリーマンの妻は専業主婦で自営業者の妻は共働きで、失業者がほとんどいない、という均質的な社会だったので、そういう制度で問題ないとされたのでしょう。

 しかし、今では人々の生き方、働き方は様々です。結婚しない人もいます。失業者もいます。サラリーマンの妻がキャリアウーマンである事も珍しくありません。それなら、一層のこと国民年金の保険料は全員が一律に支払うことにするべきだと筆者は考えています。

130万円の壁ができて労働力がフル活用されず

 正義とか公平とかは別としても、サラリーマンの専業主婦のパート収入が年間130万円以上になると(働き方等により106万円の場合もある。以下同様)専業主婦と見なされずに年金保険料を徴収されるようになるので、年収がぎりぎり130万円に達しない範囲に労働時間を抑えている専業主婦が大勢います。

 全員が年金を納めるように制度が変更されれば、こうした専業主婦たちは思う存分働くことができるでしょうから、本人たちにとっても日本経済にとっても素敵なことだと思うのですが、残念です。

 余談ですが、筆者はサラリーマンの専業主婦には年収200万円くらい稼ぐことを勧めています。それくらい稼げば、厚生年金保険料等を払っても手取りは大幅に増えますし、厚生年金に加入できれば老後の生活の安定感が増すからです。特に女性は平均寿命が長いことを考えて、老後の年金を充実させましょう。

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