前向きに読み解く経済の裏側

2018年11月12日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

(Stockyme/Gettyimages)

 今回は『老後破産しないためのお金の教科書』の著者である塚崎が、公的年金は破綻しないから頼りにしよう、と説きます。

 「年金なんて、どうせ将来はもらえないから、年金保険料を払うのはバカバカしい」と考えている若者が多いと言われています。60歳間近の人々の中にも、「年金は将来破綻するだろうから、60歳になったら前倒しで年金を受け取ろう」と考えている人も多いようです。しかし、年金が受け取れなくなることは考えにくいと筆者は考えていますし、専門家たちもそう言っています。

 公的年金は、現役世代が支払った年金保険料を用いて高齢者への年金の半分を支払うという制度です。したがって、現役世代と高齢者の人数の比率が少子高齢化によって変化すると、高齢者が受け取れる年金は減って行きます。しかし、現役世代の人口がゼロになるわけではありませんから、高齢者の受け取る年金もゼロには決してなりません。

 それから、高齢者の受け取る年金の残りの半分は、税金で集めた金です。これも、税金が足りなければ借金をしてでも払われますから、ゼロには決してなりません。

 ちなみに、本稿ではインフレのことは考えないことにします。インフレになれば現役世代の給料も税収も増えるので、高齢者は生活費が膨らむ一方で受け取れる年金も増えて、年金だけで暮らす場合の生活水準は変化しないからです。

 年金に関する安心材料は、高齢者が長生きする分だけ元気な高齢者も増えて行く、ということです。「サザエさん」の登場人物である「波平」氏は54歳という想定のようですが、今の70歳でも波平氏より元気な人は大勢います。当時の定年が55歳であった事を考えれば、これからは70歳が定年という時代が来るかもしれません。

 皆が70歳まで働いて年金保険料を納め、70歳以降の高齢者が年金を受け取る、といった時代が来る可能性は高いと考えられます。

 そう聞くと「年金制度の改悪だ」と考える人がいると思いますが、批判するならば政府ではなく、元気で長生きする薬を発明してしまった医師たちを批判してくださいね(笑)。

 受け取れる金額が減るのか、受け取り開始年齢が70歳になるのかは不明ですが、とにかく年金は受け取れます。そして公的年金は長生きしても支払われ、インフレが来れば原則としてインフレ分だけ支給金額が増えていく、という大変頼もしいものです。これをしっかり受け取りましょう。そのためには、若い時からしっかり年金保険料を支払っておきましょう。

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