前向きに読み解く経済の裏側

2018年12月10日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

(interstid/Gettyiamegs)

 今回は『老後破産しないためのお金の教科書 』の著者である塚崎が、住宅ローンを固定金利で借りるべき理由を説明します。

 住宅ローンを借りる際に固定金利で借りるのか変動金利で借りるのかは、重要な問題です。固定金利の方が当初の金利は高いですが、将来の金利上昇に対する備えができるので安心です。

 老後資金について語る時の筆者は、「長生きとインフレのリスクを避ける事が最重要」と力説しますが、住宅ローンは現役時代の話なので、異なる観点から論じることになります。

 ちなみに、「住宅ローンは現役時代だけの話ではない。退職後も住宅ローンを返済し続ける予定だ」という読者は、考え直しましょう。退職後は大した所得は見込めないのですから、借金は退職金で完済しましょう。莫大な遺産が期待できる場合は例外ですが(笑)。

通常であれば固定でも変動でも損得はないはずだが…

 長期金利(住宅ローンの場合は固定金利)は、人々が将来の毎年の短期金利(住宅ローンの場合は変動金利)を予想して、その平均になるのが普通です。貸し手と借り手が合意する必要がありますから、「変動金利で借りて30年間に払う金利(予想)と固定金利で借りて30年間に払う金利を比べて、どちらかが圧倒的に得だ」、ということにはならないからです。

 もっとも、現在は日銀が「異次元の金融緩和」をしていますから、長期金利が「人々が予想する短期金利の平均、すなわち長期金利のあるべき水準」より遥かに低くなっていると思われます。日銀の金融緩和というのは固定金利の長期国債を大量に購入することですから、これは固定金利の長期貸出を大量に行うのと同様の効果があります。そこで、長期固定金利の借入需要より貸出が圧倒的に多くなり、長期固定金利が押し下げられているのです。

 つまり、現在の固定金利は、人々が「将来の変動金利を30年分予想して、それを平均したもの」よりも低い可能性が高い、というわけです。それなら、固定金利で借りたほうが得ですね。

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