立花聡の「世界ビジネス見聞録」

2018年12月14日

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立花 聡 (たちばな・さとし)

エリス・コンサルティング代表・法学博士

1964年生まれ。早稲田大学理工学部卒。LIXIL(当時トステム)東京本社勤務を経て、英ロイター通信社に入社。1994年から6年間、ロイター中国・東アジア日系市場統括マネージャーとして、上海と香港に駐在。2000年ロイター退職後、エリス・コンサルティングを創設、代表兼首席コンサルタントを務め、現在に至る。法学博士、経営学修士(MBA)。早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員。

 

 ファーウェイ(華為)事件と米中貿易戦争とは果たして関連性があるのか。あるとすれば、どのようなものか。トランプ米大統領は12月11日、ロイターとのインタビューで、ファーウェイの孟晩舟副会長がカナダで逮捕されたことについて、米国の安全保障と対中貿易協議の進展に資するなら、この問題に介入するとの考えを示した。

中国当局によって拘束されたカナダの元外交官・マイケル・コブリグ氏(提供:Julie David de Lossy/CRISISGROUP/AFP/アフロ)

不要不急の中国出張を控える理由

 ネットワーク機器開発大手シスコ社は即座に反応し、一部の従業員に、不要不急の中国出張を控えるように社内メール通達を発出した。原因は明白だ。中国がファーウェイ事件の報復に出ることをリスクに捉えたからだ(12月7日付け英字紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」オンライン記事)。

 案の定、12月11日夜、中国でカナダの元外交官が拘束されたとの一報が舞い込んだ。ファーウェイ副会長の逮捕との関係は分かっていないとはいうが、センシティブなタイミングである以上、様々な憶測が飛び交う。

 中国は立場上、「対等な」報復に出ることがあってもおかしくない時期だ。外国人の身柄拘束は多様な形態が考えられる。腐敗犯罪や独占禁止にかかわる容疑などだけでなく、民事訴訟をもって外国人に出国制限をかけることも不可能ではない。

 中国「民事訴訟法」第255条では、「被執行人が法律文書に定めた義務を履行しない場合、人民法院は出国制限をし、また関係部門に通達を発してその出国制限に協力要請をすることができる」と定められている。

 上記条項の司法解釈の規定では、「出国制限される者の具体的範囲としては、被執行人が法人またはその他の組織であった場合、法定代表人、主要な責任者のみならず、財務・会計担当者等債務の履行に直接責任を負う者も含む」となっている。

 さらに、中国の「外国人入国出国管理法」第28条では、外国人が次に掲げる情況の1つに該当した場合、これの出国を禁止すると定めている。(2)未完了の民事案件を抱え、人民法院が出国禁止を決定したとき。(3)労働者の労働報酬の遅配・未払いがあり、国務院の関連部門または省・自治区・直轄市人民政府が出国禁止を決定したとき。(4)法律・行政法規が定めるその他出国禁止の情況。

 このように、様々な形態によって中国は外国人に出国制限をかけることができるのである。

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