世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2019年1月14日

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 2018年12月31日の大晦日、トランプ大統領が署名した重要な法律がある。それは、「アジア再保証イニシアティヴ法」(Asia Reassurance Initiative Act : ARIA)と呼ばれるもので、2018年4月に最初の法案が上院に提出されてから、改訂されながら、12月4日に上院、12月12日に下院において、それぞれ全会一致で可決され成立したものである。それを大統領が12月31日に承認する形で署名した。以下に、その概要を簡単に紹介する。

(ojogabonitoo/iStock)

・ARIAは、2018年1月3日から始まった第115回米国議会第2期に成立したS.2736号の文書を指す。

・インド太平洋地域の長期的戦略ヴィジョンと包括的、多面的、原則的な米国の政策を展開すること等を目的とする。

・第1章は、インド太平洋地域における米国の政策と外交戦略について、第2章は、インド太平洋地域における米国の安全保障利益の促進について、第3章は、同地域における米国の経済的利益の促進について、第4章は、同地域の米国の価値の促進について、それぞれ書かれている。

・文書には、議会が認定したこととして、以下の7点が挙げられた。

(1)インド太平洋地域は、世界の人口の約半数を占め、経済成長の著しい地域であるが、米国の安全保障上の利益や地域の平和や世界の安定を脅かす安全保障上の問題も存する所である。

(2)米国が支援してきた国際システムの根幹が挑戦を受けている。それには、中国の南シナ海での人工島建設や軍事化、中国の略奪的経済手法、北朝鮮の核・ミサイルの向上、ISの東南アジアにおける台頭や他の国際テロ組織等が含まれる。

(3)インド太平洋地域の経済秩序は、引き続き変革期にある。

(4)米国はインド太平洋地域の人権を守り、法の支配を促進する。地域の諸政府の国民への対応は改善されたが、幾つかの政府では今でも人権弾圧等が行なわれている。

(5)法の支配に基づいた地域の国際システムを維持するには、安全保障、経済、人権等の側面から米国の指導力が不可欠である。

(6)2017年に行われた上院外交員会の公聴会では、専門家から、「中国の指導者は、米国の戦後の指導力はアジアの発展に役立ったが、今日、その役割は終わり次の大国に引き継ぐべきだと思っている。」との発言もあった。

(7)2017年12月に公表された「国家安全保障戦略」では、インド太平洋地域では、自由か抑圧的かの国際秩序の競争があり、米国は、同盟諸国等と協力して、海洋の自由や国際法に基づいた領土紛争の平和的解決、朝鮮半島の非核化や北東アジアの不拡散に関与して行くことが、謳われた。

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