片倉佳史&真理の「もっと!台湾探見」

2019年1月30日

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片倉真理 (かたくらまり)

台湾在住ライター

台湾在住ライター。1999年から台湾に暮らし、台湾に関するガイドブックや書籍の執筆、製作に携わる。そのほか、機内誌への寄稿や女性誌のコーディネートなども手がけている。

 

2011年に台湾で出版した中国語書籍『在台灣,遇見一百分的感動~片倉真理 旅的手記』(夏日出版社)のほか、共著に『食べる指さし会話帳・台湾』(情報センター出版局)、『台湾で日帰り旅 鉄道に乗って人気の街へ』(JTBパブリッシング)など。2018年4月に初の単著『台湾探見 Discover Taiwan-ちょっぴりディープに台湾体験』(ウェッジ)を刊行。

ここ数年、日本からの旅行者が右肩上がりに増え、修学旅行の海外旅行先としてもトップになった台湾。この連載では、台湾在住約20年になるライターの片倉真理氏が、「知れば知るほど面白みと楽しさが増してくる」というその魅力を、秘境探索、建築探訪、郷土の美食などをテーマに紹介していきます。

独特な食感に驚く!「水蓮菜」はどんな野菜?

 台湾は食材の宝庫。美味しいものはそれこそ数えきれないほどありますが、その美味しさを支えているのは素材の良さ。特に野菜については、日本では見られないものも多く、興味が尽きません。メイン級の料理にはなりにくく、常にわき役を演じているのですが、台湾の野菜は種類が豊富で、退屈を覚えることがありません。

 今回、ご紹介したいのは「水蓮菜」。別名「野蓮」とか、「野蓮菜」などと呼ばれる野菜です。一見すると、細長いネギのようにも思えますが、これは水草の仲間で全く別物。炒めて食べることが多く、そのシャキシャキとした絶妙な歯ごたえは、一度体験すると忘れられなくなります。在台邦人の間でも、「最も美味しい台湾野菜」と称賛する声が少なくありません。

水蓮菜の炒め物。音が出るほどシャキシャキしています

 この水蓮菜は沼地に生え、全長はなんと3メートルにもおよびます。「タイワンガガブタ」という和名もありますが、日本では食用されることはなく、水槽に入れる水草として用いられています。

 台湾でも全土で栽培されているわけではなく、台湾南部・高雄市郊外の美濃という土地だけで栽培されています。以前は美濃湖という湖で自生するだけで、生産量も少なく、台湾北部には流通していなかったのですが、需要の増加に伴い、現在は湖の水を引き込み、ため池のようなところでも栽培されるようになっています。流通量も増え、今では台北の市場やスーパーでも見かけます。

3メートルと長く、ひものように束ねて出荷します

水蓮菜の故郷、「美濃」を訪ねる

 水蓮菜はどのように栽培され、収穫されているのでしょうか。私も興味が湧き、産地である美濃を訪れてみました。高雄からバスに揺られること約1時間、車窓にはのどかな田園風景が広がります。

のどかな美濃が水蓮菜のふるさと

 ここ美濃は日本統治時代、タバコの栽培で名を馳せていましたが、戦後にこれは衰退。現在は稲作と商品作物の栽培が盛んです。特に大根やミニトマト、パパイヤ、レモンなどが多く栽培されています。タバコについては往時の様子は見る影もありませんが、崩れかかった状態ながらも、タバコの葉を乾燥させる木造家屋を見かけることが今もあります。

 美濃の人口は約4万人。その多くは「客家人(はっかじん)」と呼ばれるエスニックグループに属する人々です。彼らは独自の言語と文化をもち、ホーロー人(福建省南部出身者)よりもやや遅れ、18世紀に中国大陸から台湾に渡ってきました。肥沃な平野部はすでにホーロー人が住みついていましたので、山間部や山麓部など、水田耕作に不向きな貧しい土地で暮らすことを強いられました。そのため、質実剛健、質素倹約を美徳とする性格が培われたと言われています。

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