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2019年2月20日

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児玉 博 (こだま・ひろし)

ジャーナリスト

1959年大分県生まれ。早稲田大学卒業。フリーランスジャーナリストとして、大手総合誌、ビジネス誌で活躍。著書に『日本株式会社の顧問弁護士 村瀬二郎の「二つの祖国」(文春新書)、近著に『テヘランからきた男 西田厚聰と東芝壊滅』(小学館)など。

 日本からおよそ1万キロ。広大なアフリカ大陸の〝点〟に過ぎない小国、ジブチ。2009年、自衛隊が国際問題となっていたアデン湾ソマリア沖の海賊行為から航行する船舶を守るために派遣されるまで、その国名は日本ではほとんど知られる機会さえもなかった。

 その〝点〟ほどの小国に世界の目が注がれている。紅海に結ぶアデン湾に面するジブチは、アフリカはもちろん、中東、ヨーロッパへの戦略的な要衝の地にある。日本にとっては、まさにシーレーン防衛上のチョークポイントに位置しているのだ。

 ジブチのような小国に世界の目を向けさせるきっかけとなったのは、世界の安全保障と経済構造を揺さぶっている中国が推し進める「一帯一路」だ。

 13年、習近平が打ち出した「一帯一路」。中央アジアを経てヨーロッパにその道は通じ、海の道は東南アジア、スリランカ、そしてアラビア半島からアフリカ東岸へと延びる。世界68カ国を跨ぎ、その規模2800兆円ともいう途方もない巨大経済圏構想こそが「一帯一路」だ。しかし、「一帯一路」は巨大な経済のウネリにとどまるものではない。それは、表裏一体として軍事的な意図が深く内包されているからだ。

 「一帯一路」の代名詞ともなったスリランカ。インド洋に開かれた港、ハンバントタの99年間の使用権を中国政府は取得。海上において戦略的な要衝に中国は拠点港を得た。ギリシャの「ピレウス港」、オーストラリア「ダーウィン港」は同じ構図に他ならない。南シナ海を睨み米海兵隊の駐留拠点にほど近いダーウィン港を中国企業が支配することになっているのである。

中国が狙う最後のフロンティア

 18年の米国防総省の年次報告が中国の推し進める「一帯一路」を”グローバルな覇権戦略”と断じているのも無理からぬ話なのだ。米国が危機感を募らせる中国の”グローバルな覇権戦略”。それが凝縮されているのが、人類に残された最後のフロンティアと言われるアフリカ大陸、中でも〝点〟ほどの小国、ジブチなのだ。

 中国のアフリカへの布石はここ数年に始まったことではない。あまり知られてはいないが、中国の外務大臣が新年最初の訪問地に選んできたのはアフリカなのだ。しかも、それは20年前から続けられている〝国策〟なのだ。赤く染められるアフリカ。赤く染められようとしているジブチ。本誌は現地に飛び、その最前線に身を置いてきた。

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