2024年11月23日(土)

中年留学日記

2011年10月26日

 ケネディスクールでは大学院の将来像についてのアンケートをウェブで行った。私にもそのアンケートが送られてきた。アンケートには施設などの面を中心に長期的にどんな将来像を望むか、どんな点に配慮すべきかなどについての質問があった。世界最高峰の設備と人材を抱えるハーバードにあってもさらなる改善を模索する謙虚な姿勢に感銘を受けたが、私はハーバードの学部やビジネススクールなど他の専門大学院とより密接な連携をとるために大きな教室の設備や立地などにもっと工夫すべき、との趣旨を回答した。

ハーバード大学生協の書籍売り場では最近発売されたスティーブ・ジョブズ氏の伝記が平積みになって売られていた

 ハーバードはリサーチ・ユニバーシティとしては非常に優れているが、その良さをもっと米国内外の社会に広く還元し、現実的な政策の実現などにつなげてゆくと最強の高等教育機関になると考えたからだ。ハーバードといえども常に国内外の他の有力大学との競争に厳しくさらされており、様々な調査によるランキングが発表されるため、教育の品質の向上を常に意識せざるをえないという現実もある。これからどんな将来像を作ってゆくのか、関係者の一人として楽しみではある。

 10月6日にアップルのスティーブ・ジョブズ氏が亡くなったニュースは日本を含む全世界のニュースになったが、一報が伝わって以降、数日間にわたってアメリカのメディアはジョブズ氏関連一色だった。特にテレビのニュース番組は延々とジョブズ氏関連の放送を行い、国をあげて偉業を称えていた。有名人の死去はそれがニュースになるが、ジョブズ氏の場合は破格の扱いだった。

全米が悲しみにくれたジョブズの死

 アメリカンドリームの体現者であり、時価総額トップ企業の経営者であり、世界中に受け入れられる魅力的な製品を開発したアイデアマンであり、プレゼンテーションの名手であったジョブズ氏。衝撃度は私の記憶する限り、1980年にニューヨークで射殺されたジョン・レノン以来ではないかと思った。一部米メディアも同じようなことを指摘していた。ジョン・レノンの音楽と同様、人々が毎日触れている機械を開発した会社のスター経営者というのも多くの人の心に残るのだと再認識した。ジョブズ氏死去が伝わってすぐオバマ大統領は声明を出し、偉大なアメリカ人の死去を悼んだ。

ハーバード大学の図書館に並ぶアップル社製のパソコン。多くの学生が論文執筆や資料作りに活用している

 ハーバードに来て印象的だったことの一つは、非常に多くの学生がアップルのコンピューターを使っていることだった。iPadをもっているのは当たり前で、持ち運んでいるノートパソコンも多くがアップル製品だ。図書館にもアップルコンピューターが多く並んでいる。ハーバードはマイクロソフトのビル・ゲイツ氏が学び、一時在籍した学校だが、コンピューター関連は圧倒的にマックが多い。ハーバードのケースが一般的かどうかは断定できないが、アメリカ社会でのアップル製品の浸透度は絶大である。


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