中東を読み解く

2019年3月14日

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 イランのロウハニ大統領が11日から隣国イラクのバグダッドを訪問し、両国の強い絆を誇示した。これを苦々しく思っているのはトランプ米大統領だ。大統領はイラン封じ込め政策を強める一方、イラクに対し、イランとの関係を縮小するよう求めているからだ。両国接近の背景には、大統領のイラク軽視発言がイラク指導者らを激怒させたことがある。

ロウハ二大統領(左)とサレハ・イラク大統領(REUTERS/AFLO)

こじれる米イラク関係

 今回のロウハニ師のイラク入りは6年目の大統領としては初めての公式訪問だ。同大統領はテヘランを出発する前「米国はいつも分断を画策している」と非難、バグダッドに到着した後のサレハ・イラク大統領との共同記者会見の場で、「両国には、宗教的に、歴史的に、そして文化的に数千年の深い関係があり、それを台無しにするつもりはない」とトランプ政権をけん制した。

 イランとイラクは1980年代、8年間にわたってイラ・イラ戦争を戦ったが、米軍のイラク侵攻により、サダム・フセイン独裁政権が倒れた後、イラクの政権がシーア派支配に変わったこともあり、同派の盟主であるイランの影響力が強まった。

 特にイランは、侵攻した米軍に対する反米テロ攻撃を支援、イラクのシーア派教徒を援助して幾つかの民兵組織を発足させた。米軍が2011年に撤退した後、イランの影響力は一気に強まり、同14年、過激派組織「イスラム国」(IS)がシリアからイラクに侵入すると、革命防衛隊を送り込むなどいち早くイラクへの軍事支援を行った。

 イラクは現在、電力の半分をイランからの天然ガス供給に依存し、各地のスーパーには食料品や医薬品などイランからの輸入品があふれている。イラクのイランとの貿易量は中国に次いで2番目に大きく、核合意の破棄以来、イランの孤立化を図るトランプ政権にとっては、イラクのイラン依存は頭痛のタネだ。

 だからこそ、トランプ政権はイラクに対して、イランとの関係を弱めるよう求め、イランによる電力供給などを米国が肩代わりすると説得しているが、トランプ大統領のイラクを侮辱したような言動がすっかりイラク側を怒らせ、関係はこじれ切ってしまった。

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