前向きに読み解く経済の裏側

2019年4月29日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

 今回は『老後破産しないためのお金の教科書』の著者である塚崎が、株価が売上高より大きく動く理由を説明します。

 企業の売上高が2割も3割も増減する事は稀ですが、株価が2割も3割も上下する事は珍しくありません。その理由は大きく分けて3つあります。「固定費があるから」「借金があるから」「美人投票だから」です。

(zoom-zoom/gettyimages)

固定費があるから会社の利益は大きく変動する

 まずは、「会社の売り上げが少し増えると会社の利益が大きく増える」というメカニズムについてです。利益が大きく増えれば、株価が大きく値上がりする可能性は高くなりますから。

 会社の利益は売上から費用を引いたものですが、費用の中には売上が増えても減っても変わらないものがあります。たとえばレストランは、客が来ても来なくても店を借りる費用や社員の人件費などがかかります。これを固定費と呼びます。

 一方で、売り上げが増えると連動して増える費用もあります。レストランの材料費などですね。これを変動費と呼びます。

 いま、レストランの固定費が9万円だとします。レストランは1500円の定食を提供していて、その材料費(=変動費)は500円だとします。

 客が一人も来ないと、9万円の赤字です。客が一人来て、1500円の売上を得ると、変動費を差し引いて1000円の利益が出ますから、赤字が8万9000円になります。客が90人来ると、赤字が消えます。この点を損益分岐点と呼びます。

 客が100人来ると、収入が15万円、固定費が9万円、変動費が5万円ですから、差し引きの利益は1万円です。客が110人だと同様に計算して利益は2万円です。なんと、客数が100人から110人に1割増えただけなのに、利益は2倍になっているのです。

 このように、普通の会社には、売り上げが少し増える(減る)と利益が大きく増える(減る)メカニズムが働いているわけです。

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