WEDGE REPORT

2011年12月12日

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小比良和威 (おひら・かずたけ)

食品の検査・コンサルタント会社に勤める傍ら、個人でもブログ 食の安全情報blog(http://d.hatena.ne.jp/ohira-y/)で食品安全に関する情報発信を行なっている。週刊エコノミスト(毎日新聞社・2011.10.11号)でも執筆。

 様々な対策や関係者の努力もあり、現在ではほとんどの検査結果が検出限界以下、あるいは検出されたとしても微量にとどまっている。そのことは日々更新されている検査結果からも読み取ることはできる。(福島県農林水産物モニタリング情報 http://www.new-fukushima.jp/monitoring.php (財)食品流通構造改善促進機構・食品の放射能検査データ http://yasaikensa.cloudapp.net/

 ただし、すべての食品に全く問題がないわけではない。淡水魚や底魚を中心とした魚介類や、きのこ類などは暫定規制値を超えて放射性セシウムが検出されることがある。しかし、検出された場合には出荷制限などの対策がとられるため、濃度が高い食品を継続的に摂取するような状態にはない。だが、食品から放射性物質が検出されたことが報道される際には検出されたことが強く印象づけられるため、たとえそれが暫定規制値内であっても不安を呼ぶ。こうして、現在の食品の検査や供給体制に対して不安・不信が消えない状態が続いている。

ミクロとマクロの視点が必要

 現在流通している食品は安全なのか、それとも危険なのか? それにはミクロとマクロの両方の視点で考える必要がある。つまり、個別の「この」食品についての汚染度と、食生活全体の摂取状況としての視点だ。

 食品の検査は、放射性物質の検査に限らず、残留農薬や食品添加物、食中毒菌の検査においても、破壊検査がほとんどである。また、原料や流通している商品の中から、検体を抜き取って行なうサンプル検査である。そのため、分析によって規制値を超過する食材をすべて発見し、取り除くことは不可能だ。綿密に検査計画を立てて対応したとしても、サンプル検査である以上は基準値を超過するものをすべて発見するということはできない。そのことから、検査体制に対する不安も生じているかもしれない。

 しかし、日常的に入手可能な食材がほとんど汚染されてしまっているかというとそれも違う。福島産の農産物であっても、ほとんどの食材からは放射性物質は検出されていない。また、東京大学の早野龍五教授が提唱している給食の1食まるごと検査を実施している横須賀市の検査結果を見ても放射性セシウムはほとんど検出されていない。マクロとして食生活の安全は守られている。しかし、ミクロの視点では放射性セシウムの検出がなくなったわけではない。こちらについては今後も検査や出荷制限などきめ細かく対応を続ける必要がある。

放射性セシウムの影響は
摂取量を考慮して判断を

 では、仮に一時的に暫定規制値を超える汚染がある食材を食べてしまったときに私たちはどうなるのか? それについては、「摂取量」が問題になる。

 一定量の放射性物質を取り込んだ際の人体への影響はシーベルト(Sv)という単位に換算して評価を行う。例えば、暫定規制値の2倍である1000Bq/kgで汚染されたお米を買ってしまい、それを1ヵ月間食べ続けたとしよう。その場合の内部被曝は約140μSvとなる。(Cs134・137がそれぞれ500Bq/kg含まれている米を1日あたり300g、30日間食べ続けたと仮定。換算にはこちらのサイトを参考にした。http://testpage.jp/m/tool/bq_sv.php?guid=ON

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