世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2019年6月18日

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 5月31日から6月2日にかけて、第18回アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)がシンガポールで開催された。これは、英国のシンクタンクIISS(国際戦略研究所)が毎年主催しているものである。

 今回は、米国のシャナハン国防長官が中国に対して厳しいことを言い、中国の魏鳳和・国防相(中国国防相としては8年ぶりにシャングリラに参加)は、台湾独立の動きには武力で対抗することを明言するなど、米中対立の激化に注目が集まった。こうした中で、欧州の主要国である英国とフランスは、インド太平洋地域への両国のプレゼンスの強化を進めることを表明した。英仏国防相のシャングリラでの発言の要点をかいつまんでご紹介すると、次の通り。

(Phurinee/fireworks_pixels/iStock)

ペニー・モーダント英国防相

 英国は、皆さんにとり信頼できるグローバル・パートナーとなることに全力でコミットしている。我々の地域への関与が、根本的なグローバルな価値である、人権、民主主義、ルールに基づく国際秩序の尊重に支えられているのはそのためだ。

 グローバル・ブリテンにとり、第一に必要なことは我々のプレゼンスであり、それは日和見的ではなく継続的なものでなければならない。我々が英海軍を過去12か月間ほぼ絶え間なく地域に滞在させ、将来も継続し、新空母クイーン・エリザベスの地域への展開を予定しているのは、それゆえである。我々はASEANとの協力の上に、関係を深化させ、新たな関係を強化するだろう。東南アジア諸国や、豪州、日本、インドとの関係を深める。

 私の今日のメッセージはシンプルだ。皆さんとの協力を楽しみにしている。英国は皆さんの頼りになりうるパートナーだ。英国も、地域にとっての途方もない機会がかかっている諸価値・規範にかかっていると同時に、それらを守っていくだろう。グローバル・ブリテンは準備が整っている。我々は未来を楽観している。

フロランス・パルリ仏国防相

 アジアにおける安全保障上のチャレンジを考えると、これまでになく協力の必要性が高まっている。貿易戦争、技術戦争、通貨戦争、言葉の戦い、さらには航空機や艦船の異常接近などが起こっている。これらは始まりに過ぎない。

 フランスの立場はどうか?フランスはこの地域からどこへも行かない。なぜなら、我々は地域の一部だからだ。我々には人口160万で広大なEEZを擁する諸島(駐:仏領ポリネシア、ニューカレドニア)がある。安全保障上の展開は我々にも影響がある。

 我々はちょうど、インド太平洋戦略を策定したところだ。地域のダイナミクスには勇気づけられない。戦略的競争が高まっている。多国間主義が退潮し、主権の平等、非干渉、国境の尊重といった中核的な価値が弱まっている。スピードや技術が戦略的空間を狭め、摩擦が起こりやすくなっている。インド太平洋では軍事的能力がこれまでになく高まっており、武力を実際に行使することなく威嚇することが可能になっている。

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