前向きに読み解く経済の裏側

2019年7月1日

»著者プロフィール
閉じる

塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

 財政破綻を心配している投資家も日本国債を購入しています。今回は、久留米大学商学部教授の塚崎公義が、その理由について考えます。

(laymul/gettyimages)

財政破綻を心配している投資家は多い

 日本政府は巨額の財政赤字を毎年計上しています。そのため、借金が1103兆円という莫大な金額に膨れ上がっています。税収等が62兆円程度ですから、その18倍の借金を抱えている計算になるわけです。

 そこで、投資家の中にも「借金が返済できそうな気がしないので、日本政府は、将来いつかは破産するのだろう」と考えている人は多いはずです。それでも投資家たちは喜んで日本国債を買っているのです。

 それは、「他の選択肢よりはマシだから」「長期的には不安だけれど短期的には安心だから」ということだからなのです。

赤字企業と日本政府は何が違うのか

 民間企業が売上高の18倍の借金を抱えていたら、直ちに倒産しそうですが、なぜ政府は倒産しないのでしょうか。それは、皆が喜んで政府に金を貸している(日本国債を購入している)からですね。

 黒字倒産という言葉があるように、黒字赤字と倒産とが直接関係しているわけではありません。銀行の取り付け騒ぎもそうですね。銀行が赤字だろうと黒字だろうと「あの銀行は倒産しそうだ」という噂が流れて預金者たちが一斉に預金を引き出しに走ると、本当に資金繰りがつかなくなって破産しかねないわけです。

 つまり、企業も銀行も政府も、資金繰りがつかなくなった時に倒産するのです。これを反対から見れば、どれほど巨額の赤字を続けていても、資金繰りが付いている間は倒産しないのです。

 そこで問題なのは、なぜ投資家たちは「売上高の18倍の借金のある民間企業には金を貸さない」一方で「税収の18倍の借金のある日本政府には金を貸す」のか、ということです。

 しかも、強制されたわけでもないのに、マイナス金利の長期国債を自発的に買っているのです。

関連記事

新着記事

»もっと見る