Washington Files

2019年7月16日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

(iStock.com/flySnow/Purestock)

 全米学生が抱え込んだローン(student loan)総額が1兆6000億ドル(約160兆円)という空前規模にまで膨れ上がり、返済免除措置の是非めぐり、来年大統領選の民主党有力候補の間で大きな争点となっている。

 大学生事情を日米間で比較した場合、最大の違いは、全米学生のほとんどが借金を抱え、返済に追われ続けている点だ。途中でデフォルト(自己破産)に陥ったり、ローン未返済のまま卒業する割合も80%以上に達し、連邦準備制度理事会(FRB)ニューヨーク支部の最新データによると、未返済の借金総額は1兆6000億ドルという、日本の国家予算以上の規模にまで及んでいる。

(bearsky23/gettyimages)

 このため、「このままでは次世代を担う若者たちの活躍を阻害しかねない」として、2020年大統領選での大きな社会的関心事に浮上してきたのが、こうした学生ローンの返済免除をめぐる是非論争だ。

 そこでまず、アメリカの大学の基礎データを、最新の国勢調査局、および「国立全米教育統計センター」(NCES)資料から見てみよう。

<大学の数>
 公立校=1626校(日本は国公立合わせ172校)
 私立校=2672校(同589校)

<学生数>
 公立校=1450万人(日本は国公合わせ56万2000人)
 私立校= 540万人(同200万4000人)

<毎年の入学生数>
 2年生カレッジ=75万人
 4年生大学=130万人

<学位取得率>
 4年生大学=全体学生の60%
 修士課程=全体学生の66%

<途中退学>
 2年生カレッジ=全体学生の70%
 4年生大学=全体学生の40%

 上記の基礎データが示す通り、アメリカの場合、公私立合わせた学生総数が約2000万人で日本の8倍近くと格段に多く、しかもその9割以上が大学または民間ローンで授業料や生活費をまかなっているのに加え、途中退学者も少なくないことが、学生の巨額累積債務を生み出す最大の要因になっている。学費および生活費の両方またはどちらかを親に負担してもらう学生が圧倒的に多い日本とは、歴然たる違いがある。

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