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2012年3月27日

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小田桐 誠 (おだぎり・まこと)

ジャーナリスト

1953年、青森県生まれ。亜細亜大学法学部卒業。出版社勤務を経てフリーのジャーナリストに。2004年7月から4年間、放送専門誌『GALAC』編集長。現在、法政大学と武蔵大学社会学部兼任講師。BPO(放送倫理・番組向上機構)「放送と青少年に関する委員会」委員、NPO法人放送批評懇談会常務理事・選奨事業委員長。近著に『NHK独り勝ちの功罪』(ベスト新書)がある。

 つまりテレビにしろ劇場用にしろ、アニメ作品を支えているのは動画担当者であり、韓国人アニメーターなしに日本のアニメは成立しないと言っても過言ではないのだ。

「386世代」が制作会社を立ち上げ

 だが韓国のアニメ業界が、日本やディズニーに象徴される米国のアニメの下請けだけで満足するはずもない。80年代半ば以降には国産アニメ制作の模索が始まり、87年頃から局制作のアニメ番組が放送されるようになった。90年代前半にはアニメ番組に関わっていたアニメーターたちが制作会社を設立し始めると同時に、劇場用アニメの制作にも挑戦し始めた。

 その中心になったのが、「386世代」である。90年代に働き盛りの30歳代で、80年代に学生運動を経験した60年代生まれの世代だ。「PC386」というパソコンの機種名に由来するように、デジタル時代の申し子といえる世代でもある。

 制作会社で動画を描いていた前出のチョンは、独立と同時に『PERFECT BLUE』などの作品で知られるマッドハウスの下請けとして仕事を始めた。

『こち亀』『おじゃる丸』
日本のアニメに食い込む同友動画

 やはり動画からアニメーター生活を始めたキム・ヤンドゥー(金英斗)は、91年3月に同友動画を設立。94年にはフジテレビ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』やNHK『おじゃる丸』などを制作しているぎゃろっぷ(本社・練馬区、若菜章夫社長)のOEM会社(相手先ブランドの生産業者)として認定された。

 同友動画は、フジの『こち亀』『姫ちゃんのリボン』、テレビ東京の『赤ずきんチャチャ』などの制作に関わる一方、03年4月には日韓初の共同製作アニメ番組『無限戦記ポトリス』に参画した。『ポトリス』は韓国発のオンラインゲームから生まれたアニメ番組だが、日韓両国はもとより欧米市場も視野に入れてキャラクター商品化など、マルチユース展開を睨んだソフトでもあった。そのために、テレビ東京や少年漫画誌『コミックボンボン』で『ポトリス』を連載する講談社、バンダイなど日本側6社と韓国側4社が「日韓共同ポトリスプロジェクト」を結成したのだった。

企画・出資に注力するのは自然の流れ

 テレビ、劇場用問わず韓国国内のアニメといえば、オリジナル作品は極めて少なく、マンガ雑誌に連載中で人気の高いもの、過去に放映され視聴率が高かった作品のリメイクものなどが中心だったが、通信のブロードバンド化の進行とともに人気のオンラインゲームが加わった。

 世界最高水準のブロードバンド普及率を実現した韓国にとって、オンラインゲームの開発はお手のもの。日本の青少年たちが同国発のゲームを楽しんでいるのを追い風に、アニメ番組の企画や番組販売、キャラクタービジネスにも乗り出したのである。

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