田部康喜のTV読本

2012年5月2日

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田部康喜 (たべ・こうき)

東日本国際大学客員教授

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 青春時代を思い返すとき、時代の女優は誰だったろうか。

 筆者は団塊の世代に続く「谷間の世代」である。戦後の出生率は1950年代末に最低を記録して、その後緩やかな増加に転じる。ポスト団塊の世代の範囲をどこまでに限るかは、人によってさまざまであろう。ここでは少々幅を広げて、80年代初めにかけて少年、青年時代を過ごした人としよう。

 団塊の世代のヒロイン、吉永小百合はすでに、本格女優だった。山口百恵はあっという間にスクリーンとテレビの画面から消えていった。ポスト団塊の世代にとって、団塊の吉永小百合に相当する女優は薬師丸ひろ子であろう、と筆者は考える。

「Wの悲劇」テレビドラマ化
武井咲の実力は…

 薬師丸ひろ子の映画の代表作である「Wの悲劇」(1984年)が、テレビドラマ化された。テレビ朝日のゴールデンタイムに登場したドラマの主演は、武井咲(えみ)である。

 4月26日(木)放映の特別拡大版の第1回を観た。ちなみに第2回は5月3日(木)である。

 大製薬会社のトップの座にある和辻与兵衛の亡くなった息子の娘、すなわち孫の摩子が武井のひとつの役である。ドラマの展開のなかで、その謎は解き明かされるのであろう、うりふたつのさつき、が武井のもうひとつの役である。さつきはショーパブの掃除のアルバイトをするかたわら、売春もする不良の娘という設定になっている。

 買春の客がカネを支払わなかったことに腹を立てて、そのあとをつけた路地裏で、さつきはその客をナイフで刺し殺し、カネを奪う。殺人担当の刑事である弓坂圭一郎は、聞き込みから常習的に売春をしている、さつきを突き止め、追及する。

 「これは任意の取り調べですよね」と、さつきは切り返す。「一人暮らしの人間がアリバイなんてどうやって証明できるもんか」と、突き放した直後、さつきは弓坂との間を一息につめて、口づけをする。怒る弓坂。ロッカーにつきとばし、さつきの顔面を両手でおさえるようにして、膝蹴りをロッカーに食い込ませる。

 証拠不十分で警察から放免されたさつきの携帯電話に無言の着信があった末に、「あなたのアリバイを作れるのはわたしだけだ」と、姿を現したのが、摩子である。

 摩子はさつきに対して、ふたりの人生を交換することを提案して、それぞれは互いの人生を歩みはじめる。

 ショーパブの清掃のアルバイトに入れ替わった摩子に対するショーダンサーの激しいいじめ。清掃していた便器のなかに顔を沈められる。汚水のなかで息を吐く摩子の表情のアップ……

国民的女優になる条件

 武井咲は筆者が注目してきた女優である。携帯電話会社のCMによって、その美貌は世に知られるところとなった。NHKの大河ドラマ「平清盛」では、清盛の側室となる常盤御前を演じている。

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