2024年11月22日(金)

経済の常識 VS 政策の非常識

2012年6月25日

 財政再建にならないなら、なぜ民主党は、消費税増税を言い出したのだろうか。自民党にとっては、コンクリートが票である。公共事業をすることによって建設業界を選挙マシンとして使えるからだ。民主党の「コンクリートから人へ」の人とは、子ども手当や所得補償を受ける国民のことだった。しかし、制度として国民に予算を配っても、永続的に票には結びつかない。民主党の支持者だけに子ども手当を配るという訳にはいかないからだ。

 しかし、消費税を増税して、それを医療、介護、保育業界に配れば、業界団体を選挙マシンに使える。しかも、民主党の経済学では、これらの業界は雇用を生み、雇用は賃金収入を拡大して消費を増やすから景気が良くなり、デフレからも脱却できると考えているからである。しかし、誰かから税金を取れば、その段階で景気が悪くなるのだから、税金で雇用を増やしても景気は良くならない。

 同じ原理は、票についても言える。税金をもらう方の人は増税に賛成でも、増税される方の人は反対だから、全体として票が増えることはない。一言で言えば、民主党は、経済学でも政治学でも勘違いをしている政権だったのではないだろうか。民主党政権を立て直すには、この勘違いを改めることから始める必要があるだろう。

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