中国アニメが
ジャパニメーションを凌駕する日

生産量は今や世界一


小田桐 誠 (おだぎり・まこと)  ジャーナリスト

1953年、青森県生まれ。亜細亜大学法学部卒業。出版社勤務を経てフリーのジャーナリストに。2004年7月から4年間、放送専門誌『GALAC』編集長。現在、法政大学と武蔵大学社会学部兼任講師。BPO(放送倫理・番組向上機構)「放送と青少年に関する委員会」委員、NPO法人放送批評懇談会常務理事・選奨事業委員長。近著に『NHK独り勝ちの功罪』(ベスト新書)がある。

WEDGE REPORT

ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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平日夜の帯番組NHKのBS-1『ワールドWaveトゥナイト』は、3月27日に放送した特集で、「中国国産アニメは飛躍できるか」と題し同国のアニメ産業の現状とその可能性をリポートした。

中国アニメ  真の実力は?

 その中で登場したのが、子どもたちからその親や若者へとファン層を拡大している中国産アニメ『喜羊羊与灰太狼(シーヤンヤンとホイタイラン)』だ。天敵の羊と狼が、トムとジェリーにように追いかけっこをするコミカルなストーリーが人気を集め、テレビでは2005年の放送開始から700話を放送。09年1月に公開された劇場用映画は大ヒットし、以降毎年劇場用アニメが制作され、今年公開の映画は20億円を超える興行収入を叩きだした。

 広州から始まったテレビ放送は、中国中央電視台(CCTV)をはじめ、全国60余のテレビ局へと広がっている。番組に登場する個性豊かな5匹の羊とその敵対者である灰太狼(コワオモテの狼がじつは妻に頭があがらない)のキャラクターは、中国アニメには珍しく、『喜羊羊』関連グッズの販売にも結びついた。09年はじめに39社だったライセンス供与先が、同年末には174社まで増えたという。

 『喜羊羊』ヒットの背景・理由には、勧善懲悪の極めて明快な構図、ゴールデンタイムからの外国産アニメ閉め出しを含めた中国の国産アニメ振興政策、制作ノウハウの蓄積などがある。

日本アニメをゴールデンタイムから排除

 中国のアニメ制作の歴史は、1956年上海にアニメの専門制作会社が設立されたところから始まる。だが66年以降の文化大革命で、その制作は休止をやむなくされた。日本の『鉄腕アトム』や『一休さん』がCCTVで放送されるようになったのは、80年代に入ってからだ。90年代は、『ドラえもん』『ちびまる子ちゃん』『セーラームーン』『スラムダンク』など、日本産アニメが中国国内を席捲した。

 若い世代への日本文化の浸透に危機感をもった中国政府は、製造業偏重の産業構造の転換を掲げ、その具体策の一つとして「アニメ産業振興策」を打ち出した。04年のことである。

 同年4月、国家ラジオ映画テレビ総局(SARFT)が「わが国アニメ産業の発展に関する若干の意見」を発表。その中で「西側の退廃した文化には反対」「合弁では中国側が主導権」「国産アニメブランド確立」を明確にした。これを受け、国産アニメ比率60%以上を義務づけた。

→次ページ 外国アニメ放送禁止に抗議 爆弾事件も

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著者

小田桐 誠(おだぎり・まこと)

ジャーナリスト

1953年、青森県生まれ。亜細亜大学法学部卒業。出版社勤務を経てフリーのジャーナリストに。2004年7月から4年間、放送専門誌『GALAC』編集長。現在、法政大学と武蔵大学社会学部兼任講師。BPO(放送倫理・番組向上機構)「放送と青少年に関する委員会」委員、NPO法人放送批評懇談会常務理事・選奨事業委員長。近著に『NHK独り勝ちの功罪』(ベスト新書)がある。

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