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2012年6月8日

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小田桐 誠 (おだぎり・まこと)

ジャーナリスト

1953年、青森県生まれ。亜細亜大学法学部卒業。出版社勤務を経てフリーのジャーナリストに。2004年7月から4年間、放送専門誌『GALAC』編集長。現在、法政大学と武蔵大学社会学部兼任講師。BPO(放送倫理・番組向上機構)「放送と青少年に関する委員会」委員、NPO法人放送批評懇談会常務理事・選奨事業委員長。近著に『NHK独り勝ちの功罪』(ベスト新書)がある。

外国アニメ放送禁止に抗議
爆弾事件も

 06年9月からは、午後5時~8時の外国アニメの放送を禁止し、08年5月外国アニメの放送禁止時間を午後9時まで拡大。国産アニメ比率を70%以上とした。06年当時、放送されていた外国アニメの80%以上は日本アニメだったから、これは実質的に人気が高い日本アニメをゴールデンタイムから排除するための放送禁止令だった。

 この外国産アニメ放送禁止令に抗議、大学生が地下鉄に爆弾を仕掛ける事件も起きた。逮捕された学生は、その犯行動機について「僕は日本のアニメが大好きだ。国産アニメは実に低劣で比較にならない。外国アニメに対する文化差別をしないようにしてほしいと希望した」と話したと言う。

 一方、中国政府は全国各地に「国家動画産業基地」設立を進めた。まず05年に杭州・上海・湖南など9地域・企業を指定。翌06年には深釧・大連・蘇州など6地域・企業を指定した。08年までに20箇所に広げている。さらに大学へのアニメ専門学科新設を進め、05年のアニメ専門学科在学の学生は46万人を超えた。

 こうした国産アニメ振興策が功を奏して、04年363時間だった国産テレビアニメ制作時間数は、11年には4354時間(385タイトル)と12倍近くに増えた。

年々減少する日本アニメの制作量

 ではわが国の最近の動向はどうなっているのか。日本動画協会『日本のアニメ業界・アニメ市場の近年の動向(2011年版)』によると、10年に制作されたテレビアニメは195タイトル・1493時間で、タイトル数では前年比10.5%減少している。劇場用アニメこそ過去10年間で最高の制作量であったが、テレビアニメは06年をピークに年々減少している。

 各国のアニメの生産量(制作時間)を見ると、中国は今や世界一を誇るようになった。その産業規模は626億円(11年)にも達し、今後さらに拡大する勢いである。

中国アニメ 今後の3つの目標

 だが中国アニメには、ストーリーが単調、キャラクターの造形が粗雑、低コストで制作できるフラッシュアニメが主力商品で質の低い作品が氾濫している――といった批判が付きまとう。中国アニメ業界からは、「ビジネスモデルが確立されないまま、生産量の増大だけが奨励されてきた」との声も聞こえてくる。

→次ページ 日本は新たなスキーム構築を

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