WEDGE REPORT

空き家750万戸はビジネスになる
WEDGE7月号特集

Wedge編集部

WEDGE REPORT

ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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 空き家が増えるのは、05年から人口が減少しはじめたことや、高齢化、過疎化などで住む人がいなくなるという社会の構造変化による影響が大きい。空き家は不審火による火災、老朽化による倒壊など、防犯、防災性の低下を招くとして、対策に動く自治体も出はじめている。「空き屋バンク」はその典型で、物件情報を自治体のホームページなどで紹介して利用者を求めるというものだ。 

 一方で、空き家の分類を見てみるとあることに気が付く。757万戸のうち、別荘などの2次住宅が41万戸、住む人がいない住宅が268万戸に対して、賃貸・売却用の住宅が448万戸もある。貸したい・売りたいとされている物件がこれだけ余っているのだ。しかし、実際に流通しているのは17.1万戸しかない。これを上手く流通に乗せることができれば、空き家の減少はもちろん、塩漬けされた資産の有効活用にもなる。

 塩漬けとなったままの賃貸・売買目的の不動産が多い理由として真っ先に挙げられるのは景気の問題。東急東横線沿線で不動産業を営む男性は「駅前は賑わっているけど、ちょっと歩けば空室だらけ。貸したい、売りたいという人が10だとすれば、実際に探しているのは3くらい」と話す。景気が低迷するなかで、引っ越しする人や不動産を購入する人が減っていると見立てる。

リノベーションで価値を高める

リノベーションで中古物件の需要を掘り起こす、スタイルアンドデコの天井理絵氏
(撮影:編集部)

 ところが、不景気だけが原因とは言い切れない部分もある。スタッフ4人で中古不動産売買の仲介、賃貸物件の仲介を手掛けるスタイルアンドデコ(東京都目黒区)。06年の創業以来、毎年取り扱い件数を伸ばしている。その理由はリノベーション(一般的にリフォームに比べてより大規模な改修を行う場合に使われる言葉)にある。

 物件選びの段階から顧客とリノベーションを前提にして計画を打ち合わせ、建築家やリフォーム会社を紹介する。取締役の天井理絵氏は「箱に収まるのではなく、自分らしい形で住みたいというニーズは多い」と話す。ただ、個人でリフォームするといっても、リフォーム業者に自分の思いを伝え、形にして行くのは簡単ではない。スタイルアンドデコでは、建築家やリフォーム会社の間に立って工事が完了するまでサポートするほか、完成後は家具のセレクトまで手伝う。

→次ページ “不動産のセレクトショップ” 『東京R不動産』

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