田部康喜のTV読本

2012年6月20日

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田部康喜 (たべ・こうき)

東日本国際大学客員教授

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

オウム事件と金融恐慌の「記憶」

 自分の記憶ほど、あてにならないものはない。霞が関でサイレンの音を聞いた2日後に、実際の強制捜査があったのである。カナリアの籠を掲げた警官隊の映像は、いまも脳裏に残っているというのに。

 オウム真理教に関する記憶はそのあたりで飛んでしまっている。前年の東京都の2信組の破綻からコスモ信組、兵庫銀行、木津信組の破綻、そして住宅金融専門機関に対する公的資金の投入問題、大和銀行ニューヨーク支店の巨額損失問題……オウム真理教による一連の事件は、日本が金融恐慌に突入するかどうかの瀬戸際のなかで起きていた。

胸に迫る再現ドラマ

 ファイルナンバー2「オウム真理教」は、ドラマ部分も迫真の演技でみせた。舞台回し役のNHK社会部記者の片桐高太郎を演じた萩原聖人、元幹部の深山織枝(仮名)役の冨樫真、麻原彰晃役の古川悦史……

 再現ドラマによって、さまざまな事件は胸に迫って言葉を失う。

 松本清張の「昭和史発掘」シリーズによって、戦後生まれの筆者の世代は、終戦直後の騒然としたなかで起きた事件の数々を知った。

 「未解決事件」の再々放映を望むのはもちろんである。かつてのNHKスペシャルと同様に出版が待たれる。 (敬称略)

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