解体 ロシア外交

2012年6月29日

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 本連載においても、最近のロシアと欧米、特に米国との関係は、「リセット」政策などがあっても、基本的に緊張状況にあると指摘してきた。特に、プーチン大統領が返り咲いた後のロシアと米国の関係はかなり厳しいものになるということは多方面で予測されている。

複雑なロシア・シリア関係

 ロシアとシリアはソ連時代から密接な関係を維持し、現在もシリアはロシアにとって重要な中東の友好国であり、その戦略的意義は極めて高い。ロシアはCIS諸国外で唯一の自国の軍事基地をシリアのタルトス港に維持している。また、戦車、航空機、対空防衛システム、そして最新鋭の弾道ミサイル等の兵器・武器をシリアに供与してきた。

 しかし、ロシアにとって、シリアとの関係は決して理想的なものではないという説もある。何故なら、ロシアはシリアに武器を売却する際に、武器購入資金としてクレジットを提供しなければならなかったし、ソビエト期の約134億米ドルにおよぶシリアの債務のうち73%に相当する98億米ドルを帳消しにすることも合意しなければならなかったからだ。

 また、ロシアのメドヴェージェフ大統領(当時)が2010年にシリアに訪問した際には、シリアに原子力発電所を建設することを提案しているが、結局、何も進展は見られていない。そのため、両国の関係の基盤となっているのは、軍関係者、政治高官、武器・兵器の取引業者などのもっとミクロなレベルの関係だという論者もいる。

シリアをめぐる米ロの温度差

 とはいえ、2回にわたり国連安全保障理事会の対シリア非難決議に拒否権を行使してきたロシアと、欧米諸国の温度差は極めて大きい。特に米国とロシアの関係は、日に日に厳しさを増している。

 それでは、何故ロシアはアサド政権を擁護するのだろうか。理由は単純ではないが、大きく分けて、3つあると思われる。

 第一に、ロシアのプーチン大統領とシリアのアサド大統領は、権威主義的ないし独裁的指導者としての利害を共有している。プーチン氏は「アラブの春」の影響がロシアに及ぶことを恐れ、昨年末から続くロシアの反政府運動にもかなり神経質になっている。

 第二に、懐疑的な意見もあるとはいえ、前述の通り、軍事契約、ロシアはタルトス港の海軍基地、原子力部門での協力構想など、シリアにおける経済的・軍事的利権を持っているといえる。

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