世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年7月5日

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 Diplomatウェブサイト6月2日付けで、Walter Lohman米ヘリテージ財団アジア研究センター所長が、米比防衛条約はフィリピンの領土、諸島嶼の侵犯に対する規程と共に、フィリピン艦船への攻撃も共同防衛の対象としているので、米国は、同盟国の側に立ち、米国の信頼を得なければならない、と論じています。

 すなわち、米比相互防衛条約(MDT)は、フィリピンの領土、諸島嶼、軍隊、公的船舶への攻撃からの防衛を規定している。過去において、米国は、領土未確定地域の防衛について、否定的であったが、現在のスカボロー紛争では、少なくとも、艦船への攻撃に関して、米比相互防衛条約が適用されよう。

 正式に同盟を発動するかどうかは、政治的決断の問題であるが、中国の南シナ海における活動を「平和と安全にとって危険」だと宣言するだけで,それなりの強力な効果があろう。

 中国は、米国とフィリピンの覚悟の程を試しているのである。もし米国が同盟国の側に立たなければ、「アジアに軸足を移す」と言葉で言っても、米国のクレディビリティに対する打撃を埋め合わせすることは出来ないだろう、と論じています。

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 ローマンは、東南アジアについて多くの論文を発表しているヘリテージの専門家です。言っていることは妥当であり、当然のことと思います。

 米比関係は、現在その再強化に向かって流れているようであり、まだその過程なので、どこまで強化されるかはわかりません。それをもっと強化せよ、と言っている論文です。

 1995年、フィリピンのパラワン島のEEZ内にあるミスチーフ岩礁を、中国が占拠し、建造物を建てたときは、フィリピンは抗議するばかりで、米比条約には訴えませんでした。フィリピンは1991年にスービックの米海軍基地を撤去させたばかりであり、中国と敵対しない外交政策をとっていました。

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