安保激変

2012年7月6日

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小谷哲男 (こたに・てつお)

日本国際問題研究所 主任研究員

1973年生まれ。同志社大学大学院法学研究科博士課程満期退学。ヴァンダービルト大学日米関係協力センター客員研究員、岡崎研究所特別研究員等を歴任。専門は日米同盟と海洋安全保障。法政大学非常勤講師及び平和・安全保障研究所・安全保障研究所研究委員を兼務。中公新書より海洋安全保障に関する処女作を出版準備中。

 米軍の最新型輸送機「オスプレイ」の沖縄県米海兵隊普天間飛行場への配備が、日米関係全体を揺るがしかねない事態になっている。

 海兵隊仕様のオスプレイ(MV-22)は今年秋までに普天間飛行場の第36海兵航空群に配備される予定であるが、沖縄の県民感情に配慮して、山口県の米軍岩国基地でまず機体の安全性の確認作業が行われる。だが、オスプレイは開発段階で事故が相次いだことが知られている。今年4月にMV-22がモロッコで墜落事故を起こし、6月にも空軍仕様のCV-22がフロリダ州で墜落したため、その安全性に再び不安が広がっている。

搬入後には全国で試験訓練を予定

 日米両政府は、安保条約に基づき在日米軍の「重要な装備の変更」に当たっては事前協議を行うことになっている。だが、それは核の持ち込みに関するものであり、実際は米軍が装備の変更を通告すれば日本政府にこれを拒否する権利はない。

 米軍はオスプレイの機体の安全性には問題はないとの姿勢を貫いており、オスプレイの日本配備も通告済みであるが、沖縄県と山口県がオスプレイの受け入れを拒否する姿勢を強めている。米軍はオスプレイの搬入後に日本全国で試験訓練を行う予定であるため、日本政府が対応を誤れば、全国規模で反対運動が起こることが予想される。

 オスプレイとは猛禽類の一種、鶚(みさご)を意味する。オスプレイは主翼の両端に角度を変更できる回転翼を備えたティルトローター方式の垂直離着陸機で、回転翼の角度を変えることで上昇と前進、空中での静止ができる。つまり、垂直離着陸・ホバリング(空中停止)が可能なヘリコプターと、航続距離が長く速度も速い通常の固定翼機の両メリットを兼ね備えているのである。MV-22とCV-22の基本性能は同じであるが、後者は地形追従機能を備えた高度な航行レーダーを装備しており、超低空を高速で飛行できる。

米海兵隊にとってヘリは
カウボーイにとっての馬

 米海兵隊をカウボーイにたとえるなら、ヘリはその馬である(鳩山由紀夫元首相はこれを理解せず、カウボーイから馬を取り上げようとした)。空港が整備されていない状況で戦うことを前提とする海兵隊歩兵部隊の主要な移動手段はヘリであるが、低速のため対空火器に狙われやすく航続距離も短いという問題点がある。このため、海兵隊は1970年代からティルトローター機の研究を本格化させ、80年代にオスプレイの開発が始まった。

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