チャイナ・ウォッチャーの視点

2012年7月11日

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 ギリシャ発の欧州債務危機が発生して以来、中国という国は常に、ヨーロッパという「お姫様」を窮地から救い出す「白馬の王子様」としての役割を期待されてきた。とりわけ、世界一というその潤沢な外貨準備高に多くの期待が寄せられているのである。しかし今年の初夏に至るまで、中国政府はこのような期待に応じる姿勢を見せることなく、「白馬」に乗ってやってきてくれることはなかなかなかったわけである。

欧州救済のため
IMFへの資金拠出430億ドル

 だが、今年の6月に入ると、中国政府は突如姿勢を変えて、転落していく欧州に救いの手を差し伸べようと動き出した。

 まずは6月13日、中国外交部(外務省)・劉為民報道官は定例記者会見で、閉幕したばかりの20カ国・地域グループ(G20)のロスカボス・サミットは建設的で協力的な姿勢を貫いたと評価した上で、関係諸国としては、ユーロ圏国家が欧州の債務危機に対応する措置を講じるのを奨励・支持すべきだと語った。

 そして6月17日、中国の胡錦濤国家主席は訪問先のデンマークで、債務危機解決に向けた欧州の取り組みを国際社会とともに支援すると述べた、と国営新華社通信が伝えたのである。

 最高指導者の胡主席がこう発言するのは当然、中国政府は欧州救済に本腰を入れようとすることの意思表明である。翌日の6月18日、中国政府は多くの関係国と共に、まさに欧州救済のためにIMFへの資金拠出を表明した。しかも、中国の資金拠出額は430億ドルで、日本に次ぐ世界3番目の規模となった。

 7月になると、今度は中国の筆頭副首相である李克強氏が、北京を訪問中のポルトガルのポルタス国務長官兼外相と会談した際に、「中国は債務問題の解決に向けたヨーロッパの一部の国の取り組みを引き続き建設的かつ協力的に支援する」と、今までよりも踏み込んだ表現で欧州支援の姿勢を鮮明にした。

欧州支援の「下心」と言うが…

 このようにして、もともと欧州支援に消極的だった中国が6月に姿勢を変えたことは明らかであるが、「白馬の王子様」は一体どうして、突如、心変わりしたのだろうか。

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