世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年8月2日

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 The National Interestウェブサイト6月29日付において、Nikolas K. Gvosdev米The National Interest編集主任で米海軍大学教授が、シリア内のロシアの基地を保全する約束があれば、ロシアはアサド転覆を支持したかもしれないが、その可能性がなくなった今、ロシアの庇護下にある中央アジアなどの国のことを考えると、ロシアは到底シリアを見捨てられないだろう、と論じています。

 すなわち、アサド政権が倒れた場合、誰が後継者となろうと、タルトゥースの海軍基地からの撤退を余儀なくされることになるとロシア側は見ている。もし、シリアの反乱側が、はじめから、キューバがグアンタナモのアメリカの基地を許容したように、ロシアの基地を許容すると言っていたならば、あるいは、ロシアはアサド打倒を支持したかもしれないが、もうその可能性もない。その後のロシアの態度は、むしろ、もはや中東とは関係なく、中央アジアにおけるウズベキスタンやカザフスタンといったロシアの子分のような政権を庇護する姿勢に関連しているようである。したがって、シリア問題について、米国はロシアの大きな譲歩は期待できない、と論じています。

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 筆者は、米海軍大学教授ですが、名前はロシア東欧系のようです。恐らくは彼の観察は正しいのでしょう。

 ロシアのグランド・ストラテジーは、旧ソ連時代の影響力の範囲をできる限り維持することにあります。とすれば、アサド政権支持も、中央アジアの旧ソ連諸国支持も同じということになります。また、ロシア、中国が国連による内政干渉に警戒的なのは、ロシアはチェチェン、グルジア周辺、中国は、チベット、新疆における民族自決運動に対する国連の干渉を恐れているからです。

 ここから、21世紀前半の国際政治のおおよその姿が見えてきます。すなわち、ロシア、中国という、米欧とは価値観の異なる国の勢力が、世界の或るサブスタンシャルな部分を支配し、米欧の干渉を許さずに存在し続けるという図式です。恐らく、それは世界の主流である民主主義支配を覆すほどの力とはならないでしょうが、フランシス・フクヤマの言った「歴史の終わり」とは程遠い状態が続くと言うことです。

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